北朝鮮、米国に平和協定交渉を提案していた

北朝鮮が米国に平和協定締結に向けた交渉を提案していたことが分かった

2016.02.23 Tue posted at 12:21 JST

ワシントン(CNN) 北朝鮮が昨年秋、ニューヨークの国連本部を通して米当局者らに接触し、朝鮮戦争の平和協定締結へ向けた交渉を提案していたことが分かった。複数の米高官がCNNに明かした。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは当初、米国側が交渉を持ちかけたと報じた。これに対して国務省のカービー報道官は、「交渉を最初に提案したのは北朝鮮のほうだ」とする声明を発表した。

声明によると、米国側は提案を受けて慎重に検討した結果、北朝鮮の核開発問題を議題に含めることを要求。北朝鮮側がこれを拒否したため、交渉は実現に至らなかった。

オバマ米政権はイランやキューバなど、米国と長年にわたり敵対関係にあった国との間で交渉を成立させてきた。北朝鮮に対しても、昨年10月の米韓首脳会談での記者会見で、核開発の中止と引き換えに制裁解除を約束したイランとの合意と同様の交渉に応じる用意があると表明した。

その際オバマ政権は、「北朝鮮がまず非核化の措置を取る」ことを前提条件としていた従来の立場から、「非核化を議題の一部とする」との条件に切り替えた。

オバマ政権は核開発問題を議題に含めることを要求したが、北朝鮮が拒否した

しかし北朝鮮側は、新たな条件にも応じることはできないとして、核開発の中止に関する協議の再開を拒絶。一方で、朝鮮戦争の終結に向けた平和条約の締結を提案してきた。米高官によると、その後数週間以内に北朝鮮の国連使節団を通して、再び同様の提案があったという。

朝鮮中央通信(KCNA)によると、北朝鮮外務省は10月17日の声明で、非核化のみを対象とした協議の試みは失敗に終わったと述べた上で、「平和条約が緊張を緩和し、核開発競争の最終的な停止を可能とする」との姿勢を示していた。

だが、その後今年1月に実施された北朝鮮の核実験で米朝間の決裂が決定的となった。北朝鮮が「水爆実験の成功」を発表したのに対し、米当局者らの間では「水爆の部品が含まれていた程度」との声が強い。真偽はどうあれ挑発行為との見方に変わりなく、米政府は先週、北朝鮮の核開発計画や人権侵害にかかわった個人、企業の資産凍結などを柱とする制裁強化を発表した。

米ヘリテージ財団のブルース・キリングナー上級研究員は、北朝鮮はこれまでも米国に対し、平和協定の交渉を定期的に求めてきたと指摘する。しかし同氏によれば、平和協定の前提として、北朝鮮はまず韓国に脅威を及ぼす通常戦力を削減する必要がある。また、大規模演習の事前通告などをはじめとした信頼醸成措置も求められる。

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