(CNN) インド北部のハリヤナ州でカースト制度を巡る抗議運動が激化し、少なくとも16人の死者が出ている。22日には州当局との合意が成立したとして、デモ主催者が参加者に対し抗議運動の中止を呼びかけた。
今回のデモでは「ジャート」と呼ばれる比較的裕福なカーストが、被差別カーストに与えられる優遇策は逆差別に当たると主張。週末にかけて道路の封鎖や列車の駅襲撃、建物への放火や略奪が相次いだ。
政府は兵士数千人を配備して、違反者を見かけたらその場で銃撃するよう指示していた。
暴動の影響で首都ニューデリーの大部分に水道水を供給している給水所も破壊された。暴動は収まったものの、同市は大量の水不足に陥っている。給水所は復旧に向けた作業を進めているが、平常に戻るまでには少なくとも24時間かかる見通し。市内の学校は22日が休校になった。
ニューデリー北部の住民によると、水道の供給は20日から止まったままで、地下水をポンプでくみ上げたり、飲料水を買ったりしてしのいでいるという。
今回のデモはハリヤナ州の人口の約4分の1を占めるジャートが、被差別カースト優遇策は逆差別だと主張して始まった。
インドでは被差別カーストに公務員などの職や大学への入学枠を割り当てる制度があり、ジャート側はこれによって自分たちの雇用機会が奪われていると主張していた。
しかしハリヤナ州がデモ隊の要求について検討する委員会を設置したことを受け、ジャートの指導者は22日、参加者に抗議運動の中止を要請。今回のデモで死亡した人の遺族に対する金銭的補償についても合意が成立したことを明らかにした。
州政府はジャートの採用枠割り当てを提案する法案を次の州議会に提出する見通しだという。