(CNN) 南半球でこれまでに観測されたサイクロンとしては最大の「ウィンストン」が20日、太平洋の島国フィジーに上陸した。同国では数日間にわたって強い風や豪雨が続く恐れがある。
米軍の合同台風警報センターによると、ウィンストンは現地時間の午後7時頃に上陸。この直前に観測された風速は81.8メートルに達した。
サイクロンの中心はまもなく同国を通過したが、この間に観光施設などで大きな被害が発生。地元テレビ局は、家屋の屋根が落ち、高齢の男性1人が下敷きとなって死亡したと伝えた。
国連人道問題調整室(OCHA)によれば、ほかに死者は報告されなかったが、被害の全容はまだ明らかになっていない。
政府のツイートによると、国内750カ所以上で避難所が開設された。
バイニマラマ首相は国民に「団結と助け合い」を呼び掛け、今後1カ月間にわたる非常事態を宣言した。
インターネットのソーシャルメディアに投稿された画像には、道路が冠水し、家屋の屋根が吹き飛ばされ、ヤシの木がなぎ倒された光景が写っている。
首都スバは直撃を免れたものの、強風や豪雨、停電に見舞われた。西部ナンディでは深刻な水害が起きた。全国に夜間外出禁止令が出され、空の便は全て運航を中止した。
CNNの気象専門家によると、ウィンストンは上陸後にいったん勢力を弱めたものの、エルニーニョ現象で水温の上がった海上を移動しながら再び発達している。23~24日には冷たい海流に到達して収まる見通しだという。
南半球のサイクロンとしてはこれまで、2002年にソロモン諸島を直撃した「ゾーイ」、06年にオーストラリアを襲った「モニカ」がともに風速79メートルと、史上最大の勢力を記録していた。ハリケーンでは昨年10月、メキシコ南西部に上陸したハリケーン「パトリシア」の風速が、観測史上最大の90メートルに達した。