自宅で社用メールを遮断する権利、仏政府が法案準備

仏政府が帰社後に勤務先絡みの電子メールを遮断する権利を認める法案を準備中

2016.02.20 Sat posted at 16:49 JST

パリ(CNNMoney) フランス紙パリジャンは20日までに、同国政府が国内の企業社員の帰宅で勤務先絡みの電子メールやスマートフォンとの接続を遮断する権利を認める法案を来月提案する準備を進めていると報じた。

同紙が独自入手した法案草案によると、フランスの経済的な競争力を高め、ビジネス環境の改善を進める一方で、労働者の権利保護にも配慮する広範な労働改革の一環の措置としている。

新法の提案が認められた場合、2017年7月に発効する見通しとなっている。

フランス経済は長年停滞しており、多国籍企業は同国で事業を行う上での様々な規制に否定的な評価を下している。

新たな法案には、同国特有の週35時間労働の改革も盛り込まれ、この規定の運用で企業に例外措置を認めやすくする配慮がなされているという。週35時間の就業規定は2000年に導入されたもので、労働時間を減らすことで企業による新規雇用を促進させる狙いがあった。ただ、この就業規定はこれまで再三修正されてきた。

デジタル技術の進展で所定時間を超えて就業拡大を強いられてきた?

社を離れた際のスマホなどの接続遮断は同国の労組が長年求めてきた。デジタル技術の進展により、社員らは週35時間を超える就業拡大を強いられていると主張していた。

エンジニアなど技術系社員を代表する労組UGITC−CGTの代表者は、政府による新法の準備は企業での勤務実態を踏まえた場合、遅すぎると主張した。

同国の一部企業は既に、勤務時間を終えた社員が仕事に必要な機器利用を禁止する社内規定を打ち出している。夜から朝にかけ電子メールシステムを完全に停止させる複数の企業も出ている。

エンジニアリング関連企業の幹部はCNNMoneyの取材に、メールやスマホ接続の停止措置の実行は難しかったが、生産性の損失につながらなかったと指摘。逆に、社員らは自宅で必要とされていた休息を得ることが出来たため社内でより効率的な業務をこなせることが可能になったと総括している。

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