アンカラ(CNN) トルコ南東部ディヤルバクル県で18日、軍用車両が道路脇に仕掛けられた爆弾の爆発に巻き込まれ、兵士6人が死亡、1人が負傷した。半国営のアナトリア通信が伝えた。
トルコでは17日に首都アンカラで軍の車両が爆発に巻き込まれ、兵士ら28人が死亡する事件が起きたばかり。アナトリア通信によれば、当局はアンカラの事件について、トルコのクルド系非合法武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)と、シリアのクルド系組織「民主統一党」(PYD)の軍事部門「人民防衛隊」(YPG)が共同で実行したとみている。
YPGは過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」との戦いで米国から重要なパートナーとして支援を受け、3万人の規模を誇る。トルコ政府はYPGをテロ組織とみている。
トルコ軍は最近、シリア北部のYPGの拠点を砲撃しており、爆破事件はその報復だというのがトルコ政府の見方だ。同政府はYPGがシリアのトルコ国境に近い広い地域を支配下に収め、独立国家に近い状態になっていると神経をとがらせている。
トルコのダウトオール首相は「YPGは独立派のテロ組織の分派だ。今回の事件ですべての同盟国と世界がこの事実を分かってくれるだろう」と述べた。
トルコ軍は爆破事件の報復として17日夜、イラク北部のPKKの拠点を空爆した。トルコとイラク、シリアにまたがる地域に暮らすクルド人は、以前から独立国家樹立を求めている。
だがアンカラの事件の犯行声明は出ておらず、PKKもYPGも関与を否定している。
シリアでは19日から「敵対行為を停止」させることで関係国が合意しているが、トルコのエルドアン大統領はシリア国境のYPG拠点への空爆を含む強硬な対応を辞さない姿勢を崩していない。トルコがYPGにさらなる砲撃を行うのではとの懸念が高まるなか、米国やフランスはトルコに自制を呼び掛け、シリアも国連安保理からの働きかけを求めている。