米軍、ノルウェーの極秘洞窟の兵力増強 冷戦時代から維持

ノルウェーの海岸に集められた米海兵隊の水陸両用戦闘車両=U.S. Marine Corps. Force Europe

2016.02.19 Fri posted at 12:41 JST

ワシントン(CNN) 北大西洋条約機構(NATO)とロシアの緊張が高まる中、米軍が冷戦時代に利用していたノルウェーの洞窟で、米海兵隊が戦車や砲弾、後方支援物資などの配備増強を進めている。

第2海兵遠征軍の司令官はノルウェーへの展開について、「装備の事前配備でコストを削減できると同時に危機発生時の対応を迅速化でき、どのような危機であれ、準備の整った装備を使って対応できる」との声明を発表した。洞窟は機密に指定されている。

ノルウェーは約195キロにわたってロシアと国境を接しており、冷戦時代はこの国境沿いに兵力が集中配備されていた。ロシア海軍の北方艦隊はここから約160キロ離れたムルマンスクに展開している。

ノルウェーの国防当局者は昨年10月の時点でロシアについて、「政治的野心の達成のために武力を行使する意図を示した」と記者団に語っていた。

海兵隊によると、洞窟はノルウェーの中部一帯に存在する。米軍の装備は当時のソ連に対するNATOの防衛力を強化する目的で、冷戦時代の1981年から配備が始まった。

米シンクタンク、大西洋評議会のマグナス・ノーデンマン氏によると、冷戦後は米国が洞窟群を維持する根拠に対して疑問を投げかける声も上がったため、洞窟設備を保存する目的で、ノルウェー政府が1990年代に洞窟維持のコストを負担することに同意したという。ノーデンマン氏は洞窟を巡るノルウェー国防省との交渉に当たった人物。

米国防総省はロシアによる侵攻の阻止を念頭に、NATO同盟国を積極的に支援

洞窟は保安設備や空調を完備した近代的な設備が整えられ、ノルウェーと米軍の兵士約100人を配備。海兵隊1万5000人分の装備が用意されている。この装備はイラクでの作戦支援にも使われた。

海兵隊によると、今月実施される「コールド・リスポンス16」と呼ばれる演習では、洞窟内の装備のうち6500点あまりが使われる予定。演習にはNATOなどの同盟国12カ国と兵士1万6000人以上が参加する。

ノルウェー国防省の報道官はこの演習の目的について、「困難な環境」における軍事力の発展と、「NATOの集団的防衛力および抑止力の信頼性維持」にあると説明した。

米国防総省は今回の発表に先立ち、NATOの同盟国に対するロシアの侵攻を阻止する一環として34億ドル(約3800億円)を拠出し、バルト海沿岸諸国やポーランド、欧州中部に装備を配備すると表明していた。

また米空軍は14日、ノルウェーの隣国フィンランドにF15戦闘機6機を送り、ロシアとの国境から約160キロの地点にある基地でこの春に演習を行うと発表している。

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