シリアの病院2カ所に空爆 22人死亡、8人不明

北部イドリブ県で空爆を受けた病院の様子=国境なき医師団

2016.02.16 Tue posted at 09:42 JST

(CNN) シリアからの情報によると、同国北部の2カ所で15日、病院と学校の建物が空爆を受け、少なくとも計22人が死亡した。さらに8人が行方不明となり、生存が絶望視されている。

1カ所目は北部アレッポ県アザズにある女性と子どもの専門病院。職員によると、避難所として使われていた同病院と学校の建物が攻撃され、15人が死亡、40人が負傷した。

職員がCNNに語ったところによれば、まず病院に空爆があり、スタッフが負傷者らを避難させようとしていた時に再びこの病院と、トルコ国境へ通じる道路が空爆を受けた。さらにもう一発は、近くにある学校の建物を直撃したという。この学校も避難所となっていた。

米国務省はこの空爆について、アサド・シリア政権の仕業だと非難した。国務省のカービー報道官は、主要関係諸国で構成する「国際シリア支援グループ(ISSG)」が民間人への攻撃を避けるよう求めてきたことを指摘。「アサド政権とその支持勢力がこのような攻撃を続けていることは、ISSGの声に真っ向から反する行為。ロシアはアサド政権の自国民に対する残虐行為をやめさせる意思や能力を持っているのかどうか、疑念を抱かざるを得ない」と述べた。

シリア政権はこの空爆について声明を出していない。

トルコのダウトオール首相は訪問先のウクライナ首都キエフで、ロシア軍が同病院を標的に、カスピ海から弾道ミサイルを発射したと非難した。今のところロシア側からの反応はない。

また国際医療支援団体「国境なき医師団」によると、アザズから約100キロ離れたイドリブ県のマアラト・ヌマンでも、同団体が支援する病院が数分間のうちに計4回の空爆を受けた。

トルコのダウトオール首相はロシア軍が同病院を標的に弾道ミサイルを発射したと非難

死者は患者5人、看護要員1人、警備員1人を含む少なくとも7人に上り、行方不明となったスタッフ8人も生存は絶望的とみられる。このほかにも患者らが行方不明になっている模様だが、その人数は判明していない。

この地域ではほぼ同じ時間に、人口密集地の民家約15棟なども攻撃を受けた。

同団体の報道担当者はCNNに、シリア政権側による空爆との見方を示した。

これに対してシリアのハダド駐ロシア大使は、米国主導の有志連合が病院を空爆したことを示す情報があると述べた。米国は、この地域では軍事作戦を実施していないと主張している。

病院は30床の規模で手術室2室と外来、救急部門を備え、スタッフ54人が勤務。1カ月の外来患者数は約1500人、救急患者は1100人、手術は140件に上っていた。

国境なき医師団の責任者は「医療機関を故意に狙った攻撃だ」「病院が破壊された結果、紛争地域の住民約4万人が医療サービスを受けられなくなってしまった」と非難した。

シリア南部ダルア県でも今月5日、同団体の支援を受ける病院が攻撃を受け、3人が死亡、少なくとも6人が負傷していたという。

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