(CNN) 今秋の米大統領選に向け民主党からの指名獲得を目指すヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダース上院議員が11日、米公共放送PBSの主催する討論会で意見を戦わせた。両候補が論戦に臨むのは、9日に行われた東部ニューハンプシャー州の予備選終了後初めて。
ニューハンプシャー州の予備選は、サンダース氏がクリントン氏に20ポイントあまりの差をつけて勝利した。
今回の討論では、現職のオバマ大統領の業績をめぐって両者の認識の違いが浮き彫りとなった。経済的、社会的困難に陥りやすい状況にあるアフリカ系米国人について、サンダース氏は「新たに生まれるアフリカ系米国人の赤ん坊は、4分の1の確率で刑務所に入ることになる。こんなものは論外だ」と主張。自身が大統領になれば、人種間の関係はオバマ政権のころよりも「間違いなく」改善すると訴えた。
これに対しクリントン氏は、米国内に根深く存在する構造的な人種差別主義に懸念を示しつつも、オバマ大統領の下でアフリカ系米国人への支援は「多大な進展」をみたと現政権を擁護した。
クリントン氏はまた、サンダース氏が過去にオバマ大統領を「弱腰」、「期待外れ」などと批判したことについて、「まるで共和党の議員のような批判の仕方だ。民主党の指名を獲得してオバマ氏の職務を引き継ごうとしている人物の発言とはとても思えない」と反論した。
これを聞いたサンダース氏は怒りをあらわにし、オバマ大統領とは友人だがすべてにおいて意見を同じくしなくてはならないわけではないとの見方を示し、「(2008年のクリントン氏と違い)自分はオバマ氏を敵に回して大統領選に出たこともない」と付け加えた。
このほかクリントン氏が、サンダース氏の掲げる医療保険制度の改革プランについて、非現実的であり新たな政治的停滞を引き起こすと警鐘を鳴らす一幕もあった。先進国の中で米国だけが国民皆保険制度を実現できていないとするサンダース氏に対し、クリントン氏は「ここはフランスではない。守れない約束はするべきではない」と述べた。
一方、両候補ともオバマ大統領が行った不法移民500万人の救済などを盛り込んだ移民制度改革は支持。今後もこうした措置を拡大していく方針を示した。今月20日にネバダ州で行われる民主党党員集会では、中南米系の有権者の動向が勝敗の行方を大きく左右するとみられている。
90秒で振り返る 民主党候補の討論会