(CNN) 「パジェロ」や「ラピュタ」など、一見すると何でもないように思える車の名前も、売られる国やそこで使われている言語などによっては、商品名としては使えない場合も出てくる。
最近では、インドの自動車大手タタ・モーターズが、発表間近だったハッチバック車「ジカ(Zica)」の車名を変更すると発表した。感染症「ジカ(Zika)熱」への国際的な不安が高まっていることを受けた措置。タタ車のジカは「ジッピー・カー」を縮めた名称だったが、世界保健機関(WHO)が公衆衛生上の緊急事態を宣言したジカ熱の流行とタイミングが重なった。
車の名称を巡っては、他のメーカーも後悔する羽目になった事例に事欠かない。
◇
シボレー・ノヴァ(ゼネラル・モーターズ=GM)
「Nova」は英語では心地良く響くが、スペイン語で「no va」といえば「行かない」の意味。1970年代の中南米での売れ行きは悪くなかったが、欧州では80年代に「コルサ」として売り出された。
ヴィトー(メルセデス・ベンツ)
ドイツ車の「Vito」は1996年にスウェーデンで発売されたが、この車名は翻訳すると女性器の意味だった。ホンダも2001年、危うく小型車を「Fitta」と命名しかけたことがある。しかしスウェーデンとノルウェーでこれが同じ体の部位を意味することを知って「フィット」に変更、それ以外の国では「ジャズ」として売り出した。
パジェロ(三菱自動車)
三菱のスポーツ用多目的車(SUV)「パジェロ」はスペイン語圏の多くで「モンテロ」と呼ばれている。南米の多くの国で「Pajero」といえば「嘘つき」や「怠け者」、さらには「自慰行為ばかりしている男」の意味になる。
ラピュタ(マツダ)
「Laputa」の名は、ジョナサン・スウィフトの1726年の小説「ガリバー旅行記」に登場する島の名に由来するらしい。だがスペイン語では「売春女性」の意味。スペイン語圏での売れ行きは振るわなかった。
モコ(日産自動車)
モコの名が使われているのは日本のみ。スペイン語では「鼻くそ」といったような意味になる。
グレムリン(アメリカン・モーターズ=AMC)
これまでに挙げた車が不運だったのは車名だけだが、1970年代にAMCから登場した奇抜な小型車グレムリンの場合、すべてが不運だった。米誌タイム(電子版)では「ワースト50」の自動車ランキングに入り、スピードは出るけれど「あざけられて笑われるだけ」と評された。