米海軍、南シナ海に駆逐艦を再派遣 係争海域の島近く航行

中国、台湾、ベトナムがパラセル諸島の領有権を主張している

2016.01.31 Sun posted at 15:53 JST

(CNN) 米国防総省は30日、中国ら3カ国・地域が領有権を主張する南シナ海の西沙(パラセル)諸島のトリトン島から12カイリ(約22キロ)内を米海軍の誘導ミサイル駆逐艦が同日航行したことを明らかにした。

同省のアーバン報道官は、同諸島の主権を唱える中国、台湾やベトナムによる航行の権利と自由の規制への挑戦であると指摘。海洋問題での極端な主張への挑戦でもあると主張した。この3カ国・地域は領海内の通航の際、事前許可や通知が必要とする政策を示しているとも述べた。

オバマ大統領やカーター国防長官が明言しているように米国は国際法が承認する世界の地域での飛行、航行、活動を続けるとし、南シナ海でも同様であると言明した。ただ、米国は南シナ海で自然に形成された陸地をめぐる主権争いについては立場を示さないとも付け加えた。

トリトン島近くを航行したのは駆逐艦「カーティス・ウィルバー」。3カ国・地域には航行を通知しなかったとしている。

一方、中国外務省報道官は今回の駆逐艦派遣を非難。「米国の海軍艦船が中国の法規を破り領海に進入した。中国側は駆逐艦の動向を監視し、法規に従って口頭でメッセージを伝えた」とし、米国は中国の関連法規を尊重して順守し、相互信頼と地域の平和と安定を向上させる措置に一層努めるべきだと主張した。

スプラトリー諸島でも各国の領有権の主張が対立

また、中国国防省の報道官は駆逐艦派遣は双方の部隊の安全性の観点から言えば、非常に未熟で無責任な行動であると批判。極度に危険な結果をもたらしかねなかったともし、「米国によるいかなる挑発的な措置にも、中国軍は主権と安全保障を守るため必要な全ての手段を講じる」と語った。

米国は昨年10月にも南シナ海に駆逐艦「ラッセン」を送り、中国が「領海」と主張する環礁の海域内を通過させている。中国は同艦に警告を発していた。

パラセル諸島やスプラトリー(南沙)諸島などを含む南シナ海の主権論争には、中国、台湾、ベトナムの他、マレーシア、フィリピンとブルネイも絡んでいる。中国は近年、領有権を既成事実化させる動きを強め、スプラトリー諸島の環礁を人工島に造成して滑走路などを建設し、将来的な爆撃機配備への懸念も生じさせている。

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