米軍統参議長、リビアで対ISISの本格掃討作戦を要望

ISISのリビア進出に対する懸念が強まっている=ISIS

2016.01.28 Thu posted at 20:12 JST

ワシントン(CNN) 米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は28日までに、過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」によるリビアでの勢力伸張を阻止するため大規模な掃討作戦の着手を望んでいることを明らかにした。

訪問先の欧州で記者団に述べた。同議長の報道担当者も議長の発言内容を確認した。

米国防総省高官によると、リビアでは現在、米軍による偵察飛行や隠密の情報収集作業が実施され、ISIS勢力の追跡や拠点の位置特定などに当たっている。

同議長は今後数週間内に、フランス、イタリアや英国らの同盟国と協力した上で、リビアでのISISせん滅を図る軍事行動の選択肢を示す勧告を期待しているという。

ダンフォード議長は米軍が想定している選択肢の詳細には触れなかった。ただ、米国防総省当局者はリビア内にあるISIS拠点への攻撃やリビアの治安部隊を同国外で訓練し、帰国させてISISと戦わせる案などに言及した。リビア内での動きを封じることでISISによる他のアフリカ諸国や南欧への勢力浸透をくじくことを狙っている。

米軍は現在、リビアでのISIS勢力の追跡や拠点の位置特定などを行っている

最近の情報評価によると、リビア内で活動するISIS工作員らの人数は数千人台の低めの数字となっている。米当局はISISの一部の幹部もリビアに入ったと見ている。

同組織戦闘員のリビア侵入は、イラクやシリアへの入国が困難になっていることが背景にある。また、ISISが首都と称するシリア北部ラッカなどの拠点に対する米軍率いる有志連合の空爆などが続き、他の場所への移動を強いられているとも見られる。

米当局は、ISISがリビアの石油関連施設の掌握を狙い、イラクやシリアでの米軍空爆で失った資金源を復活させることを懸念もしている。

米軍は昨年11月、リビアでは初めての空爆を実行し、ISIS工作員の幹部を殺害していた。

ISISのリビア進出については別の米軍幹部も懸念を既に表明している。特殊作戦軍のジョー・ボーテル司令官は先にイラクやシリアだけでの問題ではないと主張していた。同司令官は、両国でISIS掃討作戦を統括する米中央軍の次期司令官に指名されている。

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