今も眠る米軍の不発弾、オバマ氏が除去支援表明へ ラオス

オバマ米大統領。ラオスの不発弾除去へ向けた取り組みを加速させる考えだという

2016.01.25 Mon posted at 16:41 JST

ラオス・ビエンチャン(CNN) 米国が関係改善を模索しているラオスに24日、米国務省のケリー長官が到着した。オバマ政権はベトナム戦争中に米軍がラオスに大量投下した不発弾を処理するため、大規模な支援策を打ち出す見通しだ。

2月には米カリフォルニア州サニーランドでオバマ米大統領と東南アジア10カ国の首脳会談が予定され、この秋にはオバマ大統領がラオスを訪問する。側近によると、オバマ大統領はこの場で不発弾処理についての発表を行う見通し。

ベトナム戦争以来、長年にわたって対立を続けてきたラオスと米国との関係はオバマ政権下で改善が進み、3年前にはケリー長官の前任のクリントン氏が、米国務長官として1955年以来となるラオス訪問を果たした。

米軍は1964~73年に、200万トン以上の爆弾をラオスに投下した。このうち推定30%が不発弾となり、現在に至るまで数え切れないほどの死傷者を出している。非営利組織(NPO)「レガシーズ・オブ・ウォー」によれば、年間の死者数は約50人に上るという。

2012年5月には9~10歳の子ども3人がタケノコ掘りをしていたところ、不発弾が爆発して1人が重傷を負い、1人が死亡した。

ラオスの森林や水田や村落に残されたクラスター爆弾の不発弾は推定7500万発。クラスター爆弾が破裂すると、周辺の広い地域に小型爆弾数百発が拡散する。そうした爆弾によってラオス国内で命を落とした人は推定2万人以上、重い障害を負った人は1万2000人を超えている。

ラオスを訪問したケリー長官(中央)

米軍は当時の金額で1日当たり200万ドル(現在の1700万ドル=約20億円)を費やし、9年間にわたってラオスへの爆弾投下を続けた。これに対して過去20年で不発弾の処理や被害者の救済に費やした額は、年間平均で420万ドル(約5億円)にとどまる。

米議会は2010年、米政府がラオスの不発弾処理に500万ドル以上を拠出することを義務付けた。しかしこの額は、米国がアフガニスタンやイラクの不発弾除去に費やしている1億4500万ドルを大幅に下回る。

拠出額はその後着実に増え、議会は今年、ラオスの不発弾処理のために1950万ドルを計上した。この提案を後押ししてきたパトリック・リーイ上院議員(民主党)の側近は、「これは我々が作り出した問題であり、対応する道義的責任がある」と強調する。

オバマ大統領はラオスで今年開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議を見越して、国家安全保障会議(NSC)のベン・ローズ副補佐官を昨年同国に派遣。ローズ氏は、不発弾の問題がラオスの発展や貧困撲滅の妨げになっていると判断し、米国には不発弾処理を支援する義務があると大統領に提言した。

大統領も、この問題の恒久的な解決に努めるべき時だとの見解で一致。ローズ氏によれば、今年秋のラオス訪問で大統領は同国政府に対し、不発弾の大部分を処理できるだけの支援を約束する予定だという。

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