中国からの資本流出、昨年は79兆円 経済混乱で

中国政府が国内企業による海外投資の拡大に待ったをかけようとしている

2016.01.21 Thu posted at 19:46 JST

香港(CNNMoney) 世界の民間銀行大手などで組織する「国際金融協会」は21日、景気減速や証券市場の混乱などに襲われた中国から昨年引き揚げられた資金は推定で6760億米ドルに達したとの報告書をまとめた。

現在の為替市場では約79兆900億円に相当する。2014年に中国を含む新興市場から離れた資金1110億ドルからは激増となった。

同報告書によると、中国敬遠の資金離れは特に昨年10月〜12月の第4四半期に加速。 景気後退の影響や人民元安を嫌った中国企業による外国債務の清算などが要因とみられる。

報告書は中国からの資金流出は早期に止まらないとも予測。マクロ経済の逆風や自国通貨を安定させる当局の積極的な介入が続くとにらみ、外資などの逃避は今後もさらに拡大すると分析した。

中国当局は、個人が海外に持ち出せる金額に制限を設けるなどの対策に追われている

米財務省によると、中国からの資金流出は昨年8月だけで、中央銀行に当たる中国人民銀行による突然の人民元切り下げなどを受けて2000億ドルに膨れていた。

この事態を受け、中国当局は個人が海外に持ち出せる現金を年間5万ドルに限定。しかし、資金の国外逃避は収まらず、昨年9月には中国人個人が海外の現金自動出入機(ATM)で引き出せる額面規制にも乗り出していた。

資金の海外流出の継続は中国人民銀行に対する市場での人民元の安定化対策でさらなる圧力を意味する。米財務省によると、中国は昨年の第3四半期に人民元安の加速阻止で最大で2300億ドルを市場に投入したという。

CNNMoneyが実施したアンケート調査に応じたエコノミストたちは、人民元の価値は今年末までにさらに3%目減りすると予測していた。

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