ISIS、戦闘員の給与を半分にカット 戦費が圧迫

ISISの宣伝写真。戦闘員の給与が半分にカットされたとみられる

2016.01.20 Wed posted at 11:22 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が戦闘員に払う「給与」を半額にカットしていたことが20日までに分かった。ISISから流出した文書で明らかになった。

ISISはイラクとシリアの占領地域で「政府」のような機関を運営し、2週間ごとに戦闘員に給与を支払っている。米議会調査局によれば、戦闘員の月収は400~1200ドル(約4万7000~14万円)。加えて妻1人当たり50ドル、子ども1人当たり25ドルの手当てが付く。

しかし米軍率いる有志連合が攻勢を強める中で戦闘経費がかさみ、以前のような給与が払えなくなったとみられる。

ISISについて調べている研究者は、ISISが首都と称するシリアの都市ラッカの関係者から同組織の覚書を入手。そこには「イスラム国が直面している特異な状況に鑑み、全ムジャヒディン(イスラム聖戦士)に支払う給与を半分に減らすことを決めた。この決定は職位を問わず、例外は認めない」と記されていた。

給与カットの理由には言及せず、今後も月に2回の支給は継続すると明記している。

米国務省によれば、ISISは石油ビジネスを大きな資金源としており、2015年初めの時点で月額4000万ドル(現在のレートで約47億円)の資金を石油から調達していた。これに対して有志連合はISISの石油関連施設を狙った空爆を強化。ISISが石油から得る収益は大幅に減っているという。

さらに米軍は今月に入り、ISISが多額の現金を保管していたイラク中部モスルの建物に大量の爆弾を投下した。

ISISは公共サービスの運営や住民からの税金の徴収、食費の補助などの事業も行っており、そのための設備費や事務職員の給与なども負担する必要がある。

CNNMoneyの推定によれば、ISISの年間収益は最盛期で総額20億ドル(約2353億円)だった。しかしこの額は、イラクでISISに占領された地域に対して同国政府が割り当てていた予算に相当する。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。