財政難のサウジ、国営石油の上場検討 時価総額数兆ドルか

サウジアラムコが上場を検討=同社

2016.01.09 Sat posted at 15:44 JST

ロンドン(CNNMoney) 世界最大の石油企業であるサウジアラビアの国営サウジアラムコは9日までに、同社もしくは一部の子会社の株式上場などを含む民間投資の受け入れ策を検討していることを明らかにした。

サウジ政府は過去10年で最低水準とされる原油安に襲われて厳しい財政難に直面しており、株式上場で歳入確保を図る狙いとみられる。

同社は世界の原油生産量のうち12%を占める。確認済みの埋蔵量でも世界全体の約15%に当たる約2610億バレルを押さえている。

石油関連収入はサウジの財源の75%に達する。しかし、長期化する原油安で歳入は目減りしており、支出削減やガソリン価格を50%値上げするなどの対応策を強いられている。2015年の国家予算は約1000億ドルの赤字ともなっていた。

原油価格は過去18カ月の間、1バレル=100ドル超から同33ドル超に大幅に下落している。

米シンクタンクのブルッキングス研究所ドーハ・センターのエネルギー問題の専門家は、サウジは歳入不足に陥っているものの国防費や補助金の額は統制出来ない状況を呈しており、手持ち資金の確保に躍起となっていると指摘した。

アラムコによる新規株式公開(IPO)の検討を最初に報じた英誌エコノミストによると、株式上場した場合の時価総額は数兆ドルに達する可能性がある。全てのサウジ企業の時価総額の全体額を上回り、米アップルもしのぐ水準となる。

株式上場された石油企業の最大手である米エクソンモービルの時価総額は約3140億ドル。同社が支配する確認済みの埋蔵量はアラムコの約1割程度となっている。

ただ、アラムコの巨大な企業規模を考えた場合、サウジの市場でIPOが可能かとの疑問も出ている。

アラムコは1930年代に創業し、当初はアラビアン・アメリカン・オイル・カンパニーと呼ばれた。1970年代後半に完全に国営化された。サウジ国内の100カ所以上で油田を発見し、従業員は約6万人となっている。

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