小さくても快適 「タイニーハウス」での短期宿泊がブーム

広さ400平方フィート未満の「タイニーハウス」で寝泊りするのがブームになっているという

2016.03.13 Sun posted at 19:36 JST

(CNN) 狭い家に長期間住むのはしんどいと感じるかもしれない。しかし、コンパクトで合理的な生活を体験するなら、隠れ家のような小さい家を数日間借りて過ごすのが手っ取り早い方法だ。

今、米国ではタイニーハウスと呼ばれる小さな家がブームになっており、その中で注目されているのが、シンプルで経済的な生活を容易にする広さ400平方フィート(約37平方メートル)未満の家だ。

タイニーハウスは一定期間居住することを前提としているが、中にはホテルに代わるユニークな宿泊施設を求める旅行者向けの賃貸ハウスもある。

エアビーアンドビーなどの空き部屋シェアサイトに掲載されているタイニーハウスの多くは街中にあり、すぐにでも参加できるアクティビティーも豊富にそろっている。中には自然や親しい友人や家族とゆっくり語り合える静かな場所にある家もある。

森の中のタイニーハウス

ハーバード大学イノベーションラボで生まれた新興企業ゲタウェイは、顧客にタイニーハウスで過ごす休暇を提供している。同社は、顧客がすぐにトリップアドバイザーなどの旅行口コミサイトに頼らないよう、旅行中の貴重な時間の一瞬一瞬についてプランを提案したいと考えている。

旅行の24時間前まで顧客にタイニーハウスの正確な場所を知らせないのはそのためだ。同社は、約15平方メートルのタイニーハウスを3軒所有し、そのすべてがボストン市内から数時間の場所にある。

閑静な森の中にあるタイニーハウス

ゲタウェイは、同社が管理するタイニーハウスを「真の避難所」と考えている。それは仕事から離れる手段であると同時に、「ストレス解消の目的で出かけたにもかかわらず逆にストレスを抱えてしまいがちな一般的な休暇から離れる手段でもある」と同社の最高経営責任者(CEO)兼共同創業者のジョン・スタッフ氏は語る。

「われわれは皆さんに、仕事から帰宅して鞄を置いたらすぐに現地に行って、本を読んだり、親しい友人や家族とボードゲームや会話を楽しんでもらいたいと考えている」(スタッフ氏)

ハーバード・ビジネススクールの学生でもあるスタッフ氏は、ハーバード・ロースクールの学生ピート・デイビス氏と共同で同社を立ち上げた。タイニーハウスの設計は、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)の学生らが担当している。

現在予約可能な木造のタイニーハウスは閑静な田舎にあり、スモア作りに最適な炉も備えている。

ゲタウェイのタイニーハウスの宿泊料は、1泊あたり平均99ドル(約1万2000円)で、食べ物や生活必需品もそろっている(有料)。

「タイニーハウスブーム」にのる

平均的な大きさの家に住むアメリカ人の中には、自分の土地に新たにタイニーハウスを建てたり、既存の建物をタイニーハウスに改造し、それを賃貸することにより土地を最大限に活用している人もいる。

狭い空間にさまざまなものがコンパクトに収まっている

エリン・ジェントリーさんの一家は、テキサス州オースティンにある自分の土地にロフト付きのゲストハウスを建てた。普段住んでいた1928年築のバンガローの改築計画を立てる中で、3つめのベッドルームがなくなることが判明したためだ。

当初、ジェントリーさん一家はそのゲストハウスを貸し出す予定はなかったが、賃貸に出して以来、非常に高い人気を得ている。

「エアビーアンドビーに掲載したところ、多くの人が気に入ってくれた。この1年半の間、常に予約が埋まっている状態で、ほぼ毎日予約を受け付けたがすぐに埋まった」とジェントリーさんは語る。

利用者の評価も上々だ。エアビーアンドビーのあるレビュアーは「(家の中の)空間そのものが快適で、はしごでベッドに上った時、まるでキャンプに来ているように感じた」と述べている。

また「ホテルにあるものはすべてそろっている(が、かなりユニーク)」との書き込みもあった。

ジェントリーさん一家は、ゲストハウスを建てた後に、タイニーハウスの建築を検討している多くの顧客からタイニーハウスブームについて知らされた。

現在、ジェントリーさん一家は、メインハウスの改築が終わるまでこのゲストハウスで暮らしているが、改築が終わり次第、再び貸し出す予定だ。

多少の配慮が必要

旅先にチェックリストを持っていくようなら、まだ知られていなかったり見過ごされがちだったりする観光スポットを地元の家主や地主から教えてもらえる住宅地に滞在するのも得策だろう。

使いたい設備が用意されていない場合もあるので注意を

民間賃貸住宅は、人気の都市にある物件でも大変割安だ(宿泊費が1泊100~150ドルほどの物件が多い)。それだけではない。タイニーハウスに泊まると、そのユニークな設計に感心させられる。

独特の角度、狭いスペースを最大限に活用するためのすばらしいアイデア、再生木材にレトロな電化製品など、すべてがタイニーハウスの魅力だ。

しかし、その一方でタイニーハウスならではの欠点もある。

もし、普段からフルコースの料理作りを心掛けているなら、一部のタイニーハウスの調理器具では不満に感じるかもしれない。例えば、オースティンにあるジェントリーさんのゲストハウスには流し台、電子レンジ、冷蔵庫、コーヒーや茶をいれる道具はそろっているが、コンロやオーブンはない。

これらのタイニーハウスは、市の中心部から数キロ離れた近隣地域にある場合が多い。中には自転車を無料か有料で借りられる家もある。無論、タクシーや配車アプリが利用できるし、他の移動手段もある。

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