バス襲撃、イスラム教徒がキリスト教徒を守る ケニア

過激派シャバブの襲撃から、イスラム教徒がキリスト教徒を守る出来事があった

2015.12.23 Wed posted at 10:23 JST

(CNN) ケニヤ北東部で満員のバスが武装集団「シャバブ」に襲撃され、武装集団がキリスト教徒を殺害しようとしたが、イスラム教徒の女性乗客らが立ちはだかってキリスト教徒を守り、銃撃を阻止する出来事があった。

事件は21日、ソマリアとエチオピアとの国境に近いケニア北東部マンデラに向かうバスの中で起きた。この路線は治安が悪く、バスには大抵、警察車両が同行する。しかしこの日はたまたま警察車両が故障したため、バス単独で運行していて襲撃されたという。

同国内務相や乗客の証言などによると、武装集団はバスに乗っていた100人あまりの乗客に対し、イスラム教徒はバスから降りてキリスト教徒から離れるよう指示した。しかしイスラム教徒はこれに従わなかった。

イスラム教徒の乗客はほとんどが女性。自分たちの顔を覆っていたスカーフをキリスト教徒の女性たちに渡してバス後部の荷物の背後に避難させ、「殺したいのなら私たちを殺しなさい。キリスト教徒はここにはいない」と言い放った。

逃げようとしたキリスト教徒の男性1人はつかまって射殺され、バスを牽引(けんいん)していたトラックの運転手も殺害された。

武装集団は、また戻って来ると言い捨てて立ち去ったという。内務相は、治安部隊が武装集団の行方を追っていると説明し、「我々は皆ケニア人であり、宗教では分断されない」と強調。今回の事件について「イスラム社会の兄弟姉妹からの素晴らしいメッセージになった」と語った。

シャバブはソマリアを拠点とする武装集団で、米国がテロ組織に指定している。ソマリアをイスラム原理主義国家に転換させる狙いで襲撃を繰り返し、ケニア軍が2011年にソマリアで同組織の掃討に乗り出してからはケニアでも襲撃が相次いでいた。

特に今の時期はホリデーシーズンの帰省客などで公共交通機関が込み合い、バス襲撃が頻発する。昨年はコーランの一説を暗唱できなかった乗客28人が射殺される事件も起きた。

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