イラク軍が要衝ラマディに進攻、中心部奪還へ

奪還に成功するも、ISISによる反撃の可能性は残されている

2015.12.23 Wed posted at 09:44 JST

(CNN) 過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が支配しているイラク西部の要衝ラマディ中心部の奪還に向け、イラク軍が22日、同市内に進攻した。作戦完了までには2~3日かかる見通しだという。

イラク軍兵士とイスラム教シーア派民兵で構成する部隊が22日午前、ユーフラテス川の支流を渡り、ラマディ南東部の地区へ攻め込んだ。

イラクで昨年からISIS拠点を空爆している米軍主導の有志連合が仮設の橋を建設し、上空から作戦を援護した。有志連合の報道官を務める米軍大佐は「この展開に勇気づけられている」と語る一方、イラク軍がラマディを解放するにはしばらく時間がかかるとの見方を示した。

ラマディはイラクのスンニ派人口が集中するアンバル州の州都で、バクダッドからの距離も約110キロと近いことから、戦略的に重要な都市と位置付けられてきた。

ラマディはISISの攻勢を受け制圧された

5月に入り、激しい戦闘の末ISISに制圧され、数万人の市民が避難した。イラク軍が撤退した後、米国のカーター国防長官はイラク軍部隊に「戦う意志」が欠けていたと批判し、アバディ・イラク首相らの反発を招いていた。

カーター長官は10月、議会に対ISIS戦略を示した際に3つの重点として、特殊部隊による急襲作戦、ISISが「首都」と称するシリア北部ラッカとともに、ラマディを挙げていた。

イラク軍当局者は、22日の作戦でISISの戦闘員少なくとも20人を殺害し、車両十数台を破壊したと述べた。イラク側の死者には言及しなかった。

イラク国防省の当局者2人が語ったところによると、ISISは市民を「人間の盾」にしているため、民間人の安全への懸念から作戦の進展が遅れる可能性もあるという。

イラク軍は先月以来、ラマディ市民に進攻を予告し、避難を呼び掛けるビラを散布していた。しかし市民らは、ISISによる監視強化や脅しのために「逃げ出すのが難しい」と訴えていた。

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