ホノルル(CNN) オバマ米大統領は21日放送のラジオ・インタビューで、野党・共和党の指名獲得を目指す実業家ドナルド・トランプ氏を「労働者たちの経済的不安につけ込んだ選挙戦を展開している」と批判した。
トランプ氏が米カリフォルニア州での銃乱射事件を受け、イスラム教徒の入国を禁止すべきだと発言してから、オバマ大統領が同氏に対する考えを明確に述べたのは初めて。
米公共ラジオNPRとのインタビューは、大統領が休暇を過ごすハワイへ出発する前に収録された。
大統領はこの中で、「ブルーカラーの労働者たちは近年の経済情勢の中で多大な苦労を強いられている。かつて工場に通い、自分1人の稼ぎで家族の生活を支えられた時代とは事情が違う」と指摘。「そこには怒りや不満、不安が生まれる余地がある。正当であったり見当違いであったりするが、トランプ氏のような人物はこれらを選挙運動に利用しているのだと思う」と述べた。
オバマ大統領はまた、共和党内の一部には自身がアフリカ系米国人であることに対する抵抗感があり、これが激しい批判につながっているとの見方を示した。そのうえで「私の存在はある意味、彼らが恐れる変化を象徴しているのかもしれない」と語った。
過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に対する戦略が不十分との批判を受けていることについては、最近までの広報活動が足りなかったと反省を表明。
同時に、先月のパリ同時多発テロ事件以来、報道機関が一斉にISISのニュースばかり伝えていることが、国民の不安をさらに高めているとの認識も示した。
大統領は今月初め、ホワイトハウスの執務室から異例のテレビ演説を行ったのを皮切りに、対ISIS戦略の説明に力を入れている。しかし戦略を根本的に変えるべきだとする声は退け、共和党は有効な代替案を提示できていないと批判してきた。
インタビューでも「シリアやイラクで罪のない市民を何万人も殺害するというのが代替案だとしたら、それは米国の理念に反する戦略であり、米国に対する途方もない反感を招くことになる。我が国の安全保障は大きく損なわれるだろう」と語った。