米軍機、中国造成の人工島近くを誤って飛行 南シナ海

南シナ海では中国が人工島の建設を進める

2015.12.19 Sat posted at 14:38 JST

(CNN) 米国防総省高官は19日までに、中国が南シナ海で造成する人工島近くを米軍機が誤って飛行したことを明らかにした。意図的に人工島の周辺12カイリ(約22キロ)内上空を通過したわけではないとCNNの取材に述べた。

中国当局から抗議を受けたとしている。

同省高官はまた、今回の飛行が米軍が同海で中国が進める人工島造成をけん制するために打ち出した「航行の自由」作戦の一環ではないとも指摘した。米海軍の戦闘艦船は今年10月下旬、南シナ海の中国の人工島近くを通航し、同島周辺を領海と主張する中国の強い反発を招いていた。

中国の駐米大使は当時、CNNの取材に応じ、「政治的かつ軍事的に非常に深刻な挑発行為」と非難していた。

人工島に今回接近した軍用機の機種などは不明。ただ、米国防総省のアーバン報道官は声明で、米軍のB52型戦略爆撃機は南シナ海上空で訓練飛行を定期的に実施していると述べた。この飛行は、国際法に基づき世界各地で認められている飛行、航行や作戦の権利の行使や即応態勢を維持するものと強調した。

スプラトリー(南沙)諸島の人工島をめぐり緊張が高まっている

中国は南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で大規模な人工島造成作業を進め、これまで約8平方キロの陸地を創出し、空港、港湾や灯台の施設を建設したとされる。これらの工事は特にミスチーフ礁などの3カ所で目立ち、外交的な摩擦材料にもなっている。

同諸島では中国の他、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾とベトナムが領有権論争を続けている。

米国は国際法と航行などの自由を根拠にこれらの人工島造成を批判。人工島周辺を領海とする中国の立場も認めていない。今年5月には人工島上空を米軍機が飛行し、中国海軍艦船が警告する事態にもなっていた。

国防総省当局者は航行の自由作戦の範囲は国際的なものであり、沿岸国との立場があったとしても海洋問題での広範囲の過度な主張に対抗するものであると強調している。

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