「ジョブズ氏は移民の子」、仏難民キャンプにバンクシー新作

2015.12.15 Tue posted at 11:55 JST

(CNN) フランス・カレーにある難民キャンプの壁に、神出鬼没のアーティスト、バンクシーの新作壁画が描かれているのが見つかった。このうちの1枚は、袋を肩にかつぎ、マッキントッシュコンピューターを手に持つアップル創業者、故スティーブ・ジョブズ氏の姿だった。

一連の新作の写真はバンクシーのウェブサイトに掲載された。ジョブズ氏を描いた作品には、「シリアからの移民の息子」という説明が添えてあった。

カレーのタウンセンターに描かれていた別の壁画は、沈みかけた小舟の難民たちが豪華客船に旗を振って助けを求めようとする図柄だった。フランスの画家テオドール・ジェリコーの「メデューズ号の筏(いかだ)」が題材。バンクシーの写真説明には「我々は皆同じ船には乗っていない」とあった。

カレーの海岸にある建物の壁面には、望遠鏡で英国の方向を眺める子どものシルエットが描かれた。望遠鏡の上には1羽のハゲワシがとまっている。

難民キャンプを撮影した写真の中には、壁の前の仮設テントと「こんな生活に値する人など誰もいない」などの落書きを写した1枚もあった。

バンクシーは珍しく英国のメディアに声明を寄せ、「移民はその国の資源を浪費させると我々は考えがちだ。だがスティーブ・ジョブズはシリア移民の息子だった。アップルは世界最大の利益を生み出す企業であり、年間70億ドル(約8470億円)を超す税金を納めている。ホムスからの若者を受け入れたからこそ同社は存在できた」と指摘した。

バンクシーは先に、自身が手掛けたテーマパークの「ディズマランド」をカレーの難民キャンプの宿泊施設に転用すると表明していた。同地の難民キャンプは「ジャングル」と呼ばれ、スーダンやシリア、アフガニスタンなどの難民3000人あまりが身を寄せている。

カレー市の広報によると、バンクシーの作品は市当局が保護する方針。

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