(CNN) 米ペンシルベニア州フィラデルフィアのモスク(イスラム教礼拝所)の入り口に7日朝、ブタの頭部が転がっているのが見つかった。同市のナッター市長は8日の記者会見で犯人を「ひきょう者」と非難し、必ず見つけ出すと約束した。
ブタや豚肉はイスラム教で不浄なものと見なされている。
防犯カメラにはモスクの前を通過した赤いトラックから何かが投げ出され、ブタの頭部とみられる物体が入り口付近に転がる様子が映っていた。運転車や同乗者の姿は識別できない。
フィラデルフィア警察の幹部はCNNに、宗教などへの偏見に基づく憎悪犯罪(ヘイトクライム)と断定するのは時期尚早だと語る一方、「捜査はその方向で進むだろう」との見方を示した。
このモスクの電話には先月、男の声で「フランスであんなことが起きてうれしいか」「神はブタだ」などと話すボイスメールが残されていた。警察が関連を調べている。
米連邦捜査局(FBI)も同時に捜査を開始した。
フィラデルフィアのナッター市長は会見で、米大統領選の共和党指名獲得を目指す実業家ドナルド・トランプ氏が最近、全イスラム教徒の入国禁止などを主張していることに言及した。どんな集団でもトランプ氏の「無知で大げさ」な発言の標的になり得ると語り、同氏を「ろくでなし」と呼んで非難した。
イスラム教市民団体、米イスラム関係評議会(CAIR)の報道担当者はCNNとのインタビューで、先月のパリ同時多発テロ事件以降、イスラム教徒に対する暴力や反発が急増していると指摘。2001年に起きた米同時多発テロ事件の後と比較しても、「反イスラムの声が当時は周辺部から上がっていたのに対し、今回は主流の意見になるなど、さらにひどい状況だ」と話している。
モスクの報道担当者はCNNに、ブタの頭部を使った嫌がらせはあまり経験がないと語った。トランプ氏についての質問には「発言には結果がともなう」と答えたが、同氏だけの問題ではないと強調。「残念ながら、こういう行為には賛同者もいるようだ」と述べた。