米ボーイング、C17型輸送機の製造中止 工場を閉鎖

C17型輸送機=ボーイング

2015.12.03 Thu posted at 18:52 JST

(CNN) 航空機製造大手の米ボーイングは3日までに、過去24年間にわたり世界各地で使われ続けてきた世界最大級の機体を持つC17輸送機の製造中止を発表した。

最後に製造された1機は先月29日、組み立て工場に近い米カリフォルニア州ロングビーチの空港を飛び立ち、米テキサス州サンアントニオの施設へ向かった。同地でカタール空軍に引き渡される。

C17型機はこれまで計271機納品された。全機の総飛行時間は約300万時間とされ、兵員、軍装備品の輸送や人道支援業務に従事してきた。ボーイング社によると、米空軍に納入したのは223機。カナダ、英国、オーストラリア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カタール、インドや北大西洋条約機構(NATO)には48機提供した。

カタールには2016年に4機引き渡される予定。サンアントニオの保管施設には新たに製造した別の1機が既にあるが、売却の対象とはなっていないという。

製造中止は、ロングビーチ工場の閉鎖に伴うもの。従業員2200人は退職したり、他の同社施設で勤め始める。工場閉鎖は、過去数十年にわたって衰退気味だったカリフォルニア州の航空機産業に新たな打撃となる。

生産終了後も長期にわたり世界の空を飛ぶ予定

グローブマスターの愛称があるC17機の利点は、巨大機にもかかわらず短距離での着陸などが可能な敏捷(びんしょう)性にある。長さ約914メートルの滑走路にも着陸出来たという。

両主翼間の幅は51.74メートルで、空軍が保有する最大の航空機C5Mスーパーギャラクシーより約16メートル短い。機体の長さは53.04メートルで、約23メートル短い。

同機の生産は終わったものの、世界各地での使用は今後数十年間続く見通し。米国の航空宇宙誌「エビエーション・ウィーク・アンド・スペース・テクノロジー」の編集幹部によると、ボーイングは数十年間にわたって同機の維持修理などのサービスを続ける予定。2050年代に入っても飛び続けている可能性があると指摘した。

後継機種については航空機製造メーカーの間で長期開発計画があるという。

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