ニューヨーク(CNNMoney) 米マイクロソフト共同創業者で慈善事業家のビル・ゲイツ氏が、パリで開幕した国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の場で、クリーンエネルギーの開発促進を目指す基金の創設を発表する。同基金には各国政府や世界の富豪、ハイテク大手の経営者らが多額の出資を表明している。
ゲイツ氏の新プロジェクト「ブレークスルー・エネルギー・コアリション」は、オバマ米大統領やフランスのオランド大統領と共に発表予定。
各国の政府機関や投資ファンド、企業経営者など20あまりの組織や個人が出資する見通し。中国の電子商取引大手アリババのジャック・マー最高経営責任者(CEO)や、米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO、米ヒューレット・パッカード(HP)のメグ・ホイットマンCEO、英ヴァージングループを率いる富豪リチャード・ブランソン氏らハイテク大手の経営者が名を連ねる。
さらに十数カ国の政府が、今後5年で二酸化炭素を排出しないエネルギー開発のための予算を倍増すると表明した。
「風力や太陽光など再生可能エネルギーは大きな進歩を遂げ、未来の二酸化炭素排出ゼロへ向けた可能性が開けている。だがその変化の規模を考えると、さまざまな道を模索する必要があり、新たなアプローチを発明する必要も生じる」とゲイツ氏は指摘する。
「そうしたエネルギーへの突破口は民間企業が開くだろう。だがその基礎となる研究への資金提供は政府にしかできない」とも強調した。
同基金では、クリーンエネルギーの大規模生産につながる有望なプロジェクトに多額を出資。発電および電力の貯蔵、輸送、産業利用、農業、エネルギー効率を高めるプロジェクトの5分野について重点的な支援を行う。
例えば「フロー電池」など、現在の電池技術よりも有望な新しい電池の研究はもっと推進する必要があるとゲイツ氏は指摘。世界の気温の上昇を2度以内に抑えることで地球温暖化を防止しながら、新しいクリーンエネルギー技術の開発促進を目指すとした。
化石燃料への依存度を減らせば、世界経済にも多大な恩恵をもたらすと同氏は述べ、「さらに数百万人の貧困からの脱出や自給自足を支援でき、エネルギー価格の安定化にもつながる」と説いている。