オタワ(CNN) カナダのトルドー新政権は24日、今後3カ月のうちにシリア難民2万5000人を受け入れる計画を発表した。
マッカラム移民・難民・市民権相は同日の記者会見で、来年の4カ月目以降もさらに難民の受け入れを続けると述べた。
政府の受け入れ事業では家族連れや性的少数者をはじめとする社会的弱者を優先し、単身の男性は当面対象外とする。ただし単身者も来年以降に改めて申請したり、民間のプログラムに応募したりすることは可能とされる。
トルドー首相は選挙戦で、年末までに2万5000人の難民を受け入れるとの公約を掲げていた。運用上、安全上の問題で、期限を多少遅らせることになったという。
トルドー氏は公共放送CNCとのインタビューで、パリの同時多発テロが国民感情に影響を及ぼしていることを認めた。
同氏によれば、難民がヨルダンやレバノン、トルコなどからカナダ行きの飛行機に搭乗する前に、現地で全ての保安検査を済ませる方針が決まった。同氏は「カナダへやって来る難民の家族が恐怖でなく、歓迎の空気で迎えられるようにしたい」と強調した。
カナダ政府は受け入れを前に、インターネット上で「難民を歓迎しよう」と呼び掛けるキャンペーンを開始。難民への寄付やボランティア、物心両面の初期支援などを募っている。
パリ同時テロの後で実施された2件の世論調査では、治安上の懸念などを理由に受け入れ計画に反対する回答が小差で過半数を占めた。ただし国内の州当局は全て受け入れに同意し、慈善団体には協力の申し出が多数寄せられている。担当閣僚らは安全対策を最優先し、徹底的な審査を実施すると強調している。
難民らはカナダ到着後、一時的に軍の旧兵舎や現在使われていない病院、ホテルなどの建物、またはホームステイ先に滞在する。最初の一団は来月初めに到着する見通しだ。
カナダ当局によると、難民の宗教は問わない。すでに国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と緊密に連携し、最も弱い立場にある難民らを見極めて審査する作業に取り掛かっているという。