イスラエルスパイの元米海軍将校、30年ぶりに仮釈放

ジョナサン・ポラード受刑者が釈放された

2015.11.21 Sat posted at 15:09 JST

ニューヨーク(CNN) イスラエルのスパイとして米政府の機密情報を同国に流していた罪で終身刑を言い渡され、米国で服役していたジョナサン・ポラード受刑者(61)が20日、30年の刑期を経て仮釈放された。

ただポラード氏は、仮釈放の条件をめぐってニューヨーク州の連邦地裁に異議を申し立てており、同日、今回の条件は「非合理的で違法」だとする声明を発表。担当弁護士は、足首へのモニター着用の義務付けや、同氏やその雇用者のパソコンを監視する措置について、「仮釈放にあたり負担の大きい抑圧的な条件だ」としている。

また、ポラード氏は釈放された後、自由に米国を離れてイスラエル在住の妻に合流することを求めていたが、オバマ米大統領は、仮釈放の決定に介入して米国離国を許可するつもりはないとの意向を示した。

釈放を再三求めてきたイスラエルのネタニヤフ首相は声明で、「イスラエル国民はジョナサン・ポラードの釈放を歓迎する。この安息日が今後数年、数十年にわたり、彼に多くの喜びと平穏をもたらし続けることを願っている」と述べた。

ポラード氏はユダヤ系米国人で、1960年代、父親の仕事で10代で米インディアナ州に移住した。米中央情報局(CIA)の報告書によると、移住先についてポラード氏は「人種差別と偏見が慣習化している場所だった」として、ユダヤ系の学校で多くの時間を過ごして心身の安らぎを覚えたと発言。その後、スタンフォード大学を卒業後、米海軍の情報機関で専門調査員として勤務した。職場の同僚らが反イスラエルの立場を取っていたことも、イスラエルのスパイに傾倒していくきっかけになったという。

最高機密にアクセスする権限を持ち、テロ活動の分析などに従事していたが、1985年にスパイ容疑で逮捕。イスラエル情報当局の幹部と接触し、1年半にわたり、スーツケース数個分の機密書類を引き渡していたことが発覚した。書類はイスラエルが敵対するアラブ諸国や、こうした国が旧ソ連から受けている軍事援助に関する内容だった。

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