(CNN) フランスのテロ対策当局筋は18日、パリで起きた同時多発テロの首謀者とされるアブデルアミド・アバウド容疑者の存在は以前から捜査線上で把握し、先月には仏軍機によるシリアでの空爆の標的となっていたことを明らかにした。
また、複数の欧州のテロ捜査当局者は、年齢が20代後半とみられる同容疑者は過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者に近い人物と指摘。ISIS上層部と欧州に潜伏する工作員との間の連絡調整役となっていた可能性があるとした。
仏当局は18日、アバウド容疑者の捜索関連でパリ近郊サンドニのアパートで突入作戦を実行し、同容疑者がアパートにいたのか、依然生きているのかなどの確認作業を進めている。突入作戦による銃撃戦などでテロ関与の容疑者の遺体も見付かっており、DNA鑑定での身元確認を行う。
CNNの取材に応じたフランスのテロ捜査当局筋によると、同国軍機は10月、シリア北部ラッカにある外国人戦闘員の訓練用キャンプを狙った空爆を実施。アバウド容疑者は戦闘員訓練の教官の1人であり、同キャンプにいたことは確認していた。ただ、空爆時に現場にいたのかどうかは不明とした。
一方、仏紙ルモンドはISISに新たに加わり今年8月に逮捕されていた同国の男が取り調べで、アバウド容疑者は国内のコンサートホールへの襲撃を指示した幹部工作員の1人と供述していたと報道。男はこの襲撃計画には参加しなかったが、他のテロ攻撃の謀議もあったことを明かしたという。
アバウド容疑者は欧州内で実行されたテロ事件もしくは未遂事件の実行犯との関わりも指摘されている。フランスのテロ対策当局筋によると、同容疑者はベルギー・ブリュッセルで昨年5月に起きたユダヤ博物館襲撃事件の容疑者も知っていた。
また、仏ビルジュイフで今年4月発覚した教会襲撃未遂事件の容疑者とも接触していたとされる。8月にブリュッセル、パリの間を走る列車内での銃撃事件の容疑者との関係も疑われている。
アバウド容疑者は昨年、ISISに加わったとされる。今年2月12日にはISISがインターネット上で公開する英語機関誌ダビクの会見記事に出て、「意のままに欧州に入り、シリアに戻ることが出来る」と豪語していた。