実行犯の身元一部判明、過激派の拠点摘発 パリ同時テロ

パリでの同時テロに関連し、フランス各地で捜査が行われている

2015.11.17 Tue posted at 12:09 JST

パリ(CNN) 13日に起きたパリ同時多発テロを受け、フランス警察は15日から16日にかけ、各地で過激派の拠点などを捜索した。事件当日に非常事態宣言が出て以来、捜索件数は150件に達している。カズヌーブ内相は16日、一連の捜索でロケット弾発射装置や防弾ベストなどを押収し、104人を自宅軟禁下に置いたと発表した。

隣国ベルギーでは14日から15日にかけて7人が拘束されたが、検察によるとこのうち5人はすでに釈放された。

仏警察は事件に関与した危険人物として、ベルギー生まれのサラ・アブデスラム容疑者(26)の行方を追っている。ベルギー当局も同容疑者を国際手配した。

仏紙ルモンドによると、事件現場のひとつとなったコンサートホール前でアブデスラム容疑者の借りたレンタカーが見つかった。ベルギー検察によれば、同容疑者は事件に関与したとされる3人兄弟の1人。兄のイブラヒム容疑者は犯行に使われた別のレンタカーを借り、現場のカフェで自爆したとされる。残る1人はベルギー警察に拘束されたが、その後釈放されたとの情報もある。

アブデスラム容疑者は事件の数時間後、ベルギー国境へ向かう車を運転しているところを仏警察に止められたが、拘束されることなく逃走したとされる。

サラ・アブデスラム容疑者など実行犯の一部の身元が判明した

コンサートホールを襲って死亡した3人組のうち、1人の身元は14日までに、パリ郊外出身のフランス人、イスラエル・オマル・モステファイ容疑者(28)と特定された。

パリ検察は16日、もう1人の身元を特定したと発表。この人物はパリ郊外在住のサミー・アミムール容疑者(28)とされる。2012年にイエメンへの渡航を試みてテロ対策当局の監視対象となり、13年には国際手配されていた。

当局はさらに、サッカースタジアム前で自爆した容疑者3人のうち2人の身元を発表している。1人はベルギー在住のフランス人、ビラル・アドフィ容疑者(20)。昨春シリアへ渡航し、戦闘に参加していたとされる。

仏当局者が15日、CNNに語ったところによると、事件の容疑者のうち少なくとも3人はシリアへ渡った経験があった。CNN系列局は16日、仏当局者らの話として、事件に直接かかわった人物のうち6人にシリア滞在歴があったと伝えた。

スタジアムの自爆犯のうち残る1人の遺体の近くからは、シリアのパスポートが発見された。仏当局者らによると、この人物は先月、シリアからの難民としてギリシャで認定を受けていたことが、手続き当時の指紋から判明した。パスポートの記載によるとシリア北西部イドリブ出身で名前はアマド・アルモアマド、年齢は25歳とされるが、真偽は確認されていない。

テロリストがシリア難民に紛れ込んで侵入したという疑惑の影響で、難民への反感が強まるとの懸念も指摘されている。

パリ市内では16日、市民らが日常生活を取り戻そうと職場や学校へ向かう姿がみられた。

バルス首相は同日のラジオ演説で「我々は生活を続けていかなければならないが、これから長期にわたってテロの脅威と隣り合わせで生きていくことになる。新たな攻撃に備えなければならないのは間違いない」と語った。

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