(CNN) パリで起きた同時多発テロの影響で、エッフェル塔や凱旋門(がいせんもん)、ルーブル美術館などの観光名所が軒並み休業となった。パリを発着する便や鉄道は運行を続けているものの、軍や警察が厳重な警戒態勢を敷く。フランス旅行を予定していた観光客などは、旅行を中止するかどうかの判断を迫られている。
オランド大統領は国家非常事態を宣言し、3日間を服喪の日とした。エッフェル塔は14日から営業を停止し、再開予定は未定。ディズニーランド・パリも17日まで休業を続ける。
当局は観光客に対し、国境管理が強化され、パリ市内全域で移動が制限される可能性があると通告した。
在フランス米大使館は現地の米国民に対して厳重な警戒を続けるよう勧告、不要不急の活動を控えるなどして身の安全を守るよう促している。
フランス国内の空港は営業を続けており、パリ発着便も運航されているが、一部の便では欠航が伝えられる。米ユナイテッド航空など数社は、旅行客などの変更手数料を免除する措置を取った。
国際列車のユーロスターも平常通り運行されている。ただ、チェックインや保安検査に時間がかかる可能性がある。
一家で次の週末にパリを訪れる予定だったドイツ在住のジェシカ・トンラルフさんは、「まだ記憶が生々しいうちに慌てて何もかもキャンセルすることは望まない。それでも家族の身の安全に対する不安は確実にある」と打ち明ける。
休暇の予定をキャンセルするかどうかはまだ決めていないという。滞在先は民泊仲介サイトのAirbnb(エアビーアンドビー)を通じて予約したため、旅行を中止すれば支払い済みの予約金は戻ってこない可能性もある。「それでも私たちにとって安心と安全はキャンセル料を支払うだけの価値がある」とトンラルフさんは言う。
Airbnbはホストに対し、利用者が無料で宿泊を延長できるよう取り計らい、一部の手数料などを免除するよう促した。
一方、欧州観光に詳しいリック・スティーブズ氏は自身のブログやフェイスブックを通じ、パリを避けないでほしいと呼びかけた。「今回の行為におびえることによってテロリストを勝たせてはいけない。それは犠牲者に対する私たちの責務だと信じる」と同氏は訴える。
それでもリスクについては個々の旅行者が自分で判断する必要があるとトンラルフさんは強調、「特に子連れで知らない場所へ旅行する場合は常にそのことを考えなければいけない」「次の週末にまた同じことが起きるとは考えにくい。それでも私は『もし起きたら』という不安がぬぐえない」と話した。