ワシントン(CNN) オバマ米大統領は6日、カナダと米テキサス州を結ぶキーストーンXLパイプラインの建設計画を却下した。大統領の在任期間中、長年にわたり続いた論争に終止符を打った形だ。
米国務省のケリー長官がこの計画について、米国の安全保障上の国益にそぐわないとの結論を下し、オバマ大統領もホワイトハウスでの会見でこれに同意。「米国は気候変動と真剣に戦う上で世界をリードする立場であり、率直に言って、パイプライン計画はこのリーダーシップを損なうものだ」と述べた。
このプロジェクトを巡っては、大統領選などの場で7年にわたり、石油会社や共和党とリベラル派の活動家らが対立。米国務省はこの間、プロジェクトを精査してきた。
パイプラインは実現すれば、米国6州1930キロ近くにまたがり、カナダからネブラスカ州経由でメキシコ湾岸の製油所まで石油を運ぶ計画だった。
米政府は気候変動対策を推進し続けており、米環境保護局(EPA)はこの夏、発電所からの地球温暖化ガス排出を制限する新規制案を打ち出していた。
オバマ大統領は6日、パリで行われる国連の気候変動会議に参加する意向を表明。二酸化炭素(CO2)の排出量削減などにすべての国が取り組む方向で国際的な合意を仲介したい考えだ。
ケリー長官は声明で、このプロジェクトを進めれば、地球変動との戦いで世界をリードする米国の力を大きく損なうとの考えが決断の主因になったと明かした。
一方、共和党のライアン下院議長はオバマ大統領の決断を批判。「この決定に驚きはないが、不快だ」と声明で述べた。来年行われる大統領選の共和党指名争いで首位を走るドナルド・トランプ氏もツイッター上で大統領の決定に失望の意を示した。