航空会社は「故障」「人的ミス」を否定 ロシア機墜落

墜落した機体の残骸=Russian Emergency Situations Ministry

2015.11.03 Tue posted at 10:51 JST

(CNN) エジプト・シナイ半島で起きたロシア機墜落の原因をめぐり、航空会社とロシア当局者らの意見が食い違っている。

ロシア国家間航空委員会の幹部は1日、機体が空中分解したとの見方を示した。

墜落機を運航していたロシアの航空会社コガリムアビアの幹部は同日、モスクワでの記者会見で、技術上の故障や人的ミスの可能性を否定。空中分解を説明できる唯一の原因は、機体への「力学的、物理的な衝撃」だと述べた。この発言は、外部から何らかの力が働いたという意味にも解釈できる。

同幹部は、たとえ操縦席で大きなミスがあったとしても、搭載されていた保護システムで墜落は防げたはずだと強調した。

これに対してロシア航空庁のネラチコ長官は国営スプートニク通信とのインタビューで、「裏付けもないのに原因を語るのは完全に時期尚早。結論を急ぐべきではない」と改めて主張した。

墜落したエアバスA321―200型機は1997年に製造され、2012年からコガリムアビア航空が運航していた。レバノン国営ミドル・イースト航空に登録されていた2001年、カイロで着陸時に事故を起こして修復された。

しかしコガリムアビア航空によると、最近では13年に総点検を受けた記録があり、それ以降に大きな割れ目などが生じていたとは考えられない。エジプト国内の空港を管理運営するエジプト空港会社(EAC)によれば、出発前の通常点検でも異常はみられなかった。

エジプトからロシア・サンクトペテルブルクへ向かう飛行機が墜落した

墜落当日の31日、インターネット上には過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」系武装勢力の犯行声明が掲載された。しかしエジプト、ロシア両国の当局者らは、同勢力によるテロの可能性を否定している。

シナイ半島で同勢力と衝突を繰り返してきたエジプト軍によると、同勢力は肩にかつぐタイプの対空砲を保有しているが、その射程距離は約4200メートルにとどまり、墜落機が飛行していた9000メートル以上の上空には遠く及ばないとみられる。

1日にCNNとのインタビューに応じたロシアのペスコフ大統領報道官はテロの可能性を否定せず、「何らかの可能性を排除できる手段は調査だけ」と強調した。

コガリムアビア航空の幹部らも、原因を特定するのは時期尚早だと認めている。ただ、武装勢力が墜落場面と称してネットに公開した映像については、「偽物だと思う」と述べた。

エジプトのシーシ大統領はロシアのプーチン大統領に、ロシアの専門家が調査に最大限参加することを認めると表明した。墜落現場にはロシアのほか、墜落機が製造されたフランス、ドイツからも当局者が派遣されている。

飛行データや操縦室内の音声を記録したブラックボックスは良好な状態で回収されたが、解読は完了していないという。

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