緊張高まる南シナ海、その現状は

南シナ海では中国をはじめ、フィリピンやベトナムなども領有権を主張している

2015.11.01 Sun posted at 17:37 JST

(CNN) 小さな島々や岩礁、砂州が点在する南シナ海は、周辺各国が領有権を主張する場所となっている。

中国は「九段線」を設定し、同国南部の海南省から南や東へ何百キロも離れた海域まで領有権を主張。その一部は、周辺諸国が領有権を主張している海域にまで及んでいる。

中国が岩礁を護岸工事などで埋め立て、飛行場などを造成したことで、南シナ海の緊張が高まっている。

米軍のイージス駆逐艦ラッセンは先ごろ、中国が領有権を主張する人工島から12カイリ(約22キロ)内に進入したが、中国はラッセンに対して、追跡と警告を行った。

各国が飛行場を建設しているという

南シナ海では、ブルネイをはじめ、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムも幾つかの島々や周辺の海域について領有権を主張している。

スプラトリー(南沙)諸島に対する領有権の主張については、中国は比較的後発組だ。

台湾が第2次世界大戦後、最初に島の占領を行うが、その後、フィリピンやベトナム、マレーシアがこれに続いた。各国が島に前哨基地や飛行場を建設したという。中国が、南シナ海の岩礁や島への実効支配に乗り出すのは1980年代だ。

中国は2014年、スプラトリー諸島の3つの岩礁(ファイアリークロス、スビ、ミスチーフ)で大規模な造成を始めた。2年とたたずに、建設された人工島の面積は2000エーカー(約8平方キロ)に達した。

豊富な天然資源が眠っていると見られている

中国の習近平(シーチンピン)国家主席は今年9月の訪米時、首脳会談の席で、島を軍事拠点化しないと明言した。しかし、専門家は、人工衛星の写真などから、爆撃機の配備も可能だとみている。

米政府は南シナ海での領有権問題からは距離を置いている。米国はまた、国際法と航行の自由を盾に、各国が領有を主張する周辺地域へ船舶や航空機を送り込んでいる。南シナ海の中国が領有権を主張する地域へは、5月に偵察機を飛ばしたほか、10月にはイージス艦を派遣している。

専門家によれば、国際法では、人工島からの12カイリを「領海」と主張することはできない。領海を主張するには、陸地が満潮時に水面上に出ていなければならないという。

この地域には豊富な天然資源が眠っているとされる。特にマレーシアやベトナムの沖合には油田やガス田が確認されている。探査は行われていないものの、スプラトリー諸島周辺も石油などの天然資源が豊富に眠っているとみられている。

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