(CNN) 米サウスカロライナ州にある高校の教室で黒人の女子生徒が校内常駐の白人警官に拘束された様子を撮影した複数のビデオが、このほどインターネット上に出回った。閲覧者の間では、警官の暴力的な行動に対する衝撃が広がっている。
ビデオが撮影されたのは26日。制服姿の警官が、机の前に座った生徒の首に手を回して後ろへ倒し、教室の前方へ引きずり出す場面などが撮影されている。
警官は無給の停職処分を受けている。地元保安官は27日、この警官の雇用を続けるかどうかを24時間以内に決定すると述べた。
拘束された生徒はその後釈放されて帰宅したものの、学校内の治安を乱した疑いをかけられている。捜査当局は負傷者なしと発表したが、別の女子生徒によると本人は腕を骨折し、顔に切り傷を負ったと訴えている。
捜査当局の報道官によると、生徒は授業中、教員から教室を出るよう繰り返し指示されていた。教頭もその場に居合わせ、さらに警官が呼び出されて退室を求めたが、生徒はこれを拒否したという。
同保安官は、最初に授業を妨害した生徒側にも一部責任があると述べ、生徒が当初、警官に抵抗した映像も残っていると説明。そのうえで、警官の行動には正当化できない部分もあったとの認識を示した。
この件に関して、米連邦捜査局(FBI)などの主導で人権上、刑法上の捜査が始まっている。
ビデオをめぐる議論の中には、警官が暴力的な行動に出る前に生徒が何をして教員らがどう対応していたのか、映像だけでは分からないとの指摘もある。
一方、いかなる事情があろうと生徒は周囲に危害や脅威を及ぼしていなかったとして、警官の解雇を求める声も強い。
2013年度の統計によると、米国内では公立学校の43%に総勢8万2000人以上の警官が配置されている。通常の警官と同等の資格と権限を持ち、さらに仲裁者や教育者としての役割も担っている。
米警官、教室内で女子生徒を拘束