英海軍の未来の軍艦 高速魚雷や電磁レールガンを装備

英国が構想案を打ち出した未来の軍艦「ドレッドノート2050」=STARTPOINT

2015.10.18 Sun posted at 18:00 JST

(CNN) 時速560キロ近くの魚雷、巡航ミサイル並みの射程を持つ電磁レールガン、レーザーを発射するクアッドコプター、艦上で作製できる無人機(ドローン)、ホログラフを投影した司令室――。英海軍などに籍を置く若い科学者らがこのほど、英国防省の求めに応じ、こんな要素を搭載した未来の軍艦の構想を打ち出した。

軍需企業や英国防省、英海軍の科学者らが参加したこの企画は、「ドレッドノート2050」と名付けられた。今回のプロジェクトを管轄した英海軍の組織「スタートポイント」は報道機関向けの発表で、企画は1906年進水の戦艦「HMSドレッドノート」のオマージュであり、同艦について「あまりに画期的であったため、他のすべての主要な戦艦は時代遅れになった」としている。

スタートポイントの目標は、「予算の制約と先進的な技術の装備という2つの挑戦に取り組む」こと。構想図を見る限り、「安上がり」との感想は浮かんでこない。むしろ、「宇宙船」や「宇宙戦艦」のような表現の方がぴったりくる。

ドレッドノート2050の船形は3つの船殻を組み合わせたもので、鉄ではなく超強度のアクリルを素材としている。船体を透明にすることも可能だ。また伝統的なマストの代わりに、クアッドコプターを使用。炭素ナノチューブで同艦につなぎ止められており、これを通じてセンサーや近距離の標的を迎撃するレーザーガンに電力を供給する。

マストはなくクアッドコプターを上空に係留し、センサーや標的を迎撃するレーザーを搭載=STARTPOINT

遠方の標的に対しては、船首に電磁レールガンを備えており、数百キロの射程を持つ。舷外構造のチューブには「スーパーキャビテーション」魚雷を装備。あまりの速さに周囲の水は気化し、作り出されたエアポケットの中を飛ぶように進む。

船尾付近にはドローンの発着デッキがある。ドローンは3Dプリンターの技術により艦上で作り出される。また「ムーンプール」と呼ばれるデッキからは揚陸部隊を作戦投入できる。

これらすべてを制御するのが、「オプスルーム」と名付けられた司令室だ。その中心にはホログラフ投影された指令テーブルが配置されており、船のあらゆるシステムを艦内の司令官や、英海軍、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国などと連携させるという。

オプスルームに配備されるのは5人だけで、総船員数もわずか50人。司令室に25人、総船員200人を擁する今日の艦船と比べて非常に少ない。人件費が主要な費用項目となっている軍隊にあって、大幅なコスト削減を見込める分野だ。

3Dプリンターを使って艦上で作製されるドローン用の発着デッキも=STARTPOINT

少し奇抜すぎる構想のようにも見えるが、英海軍は、この点こそまさに今回の企画の肝だと指摘。「英海軍は未来を見据えた革新的な思考を必要としている。これらのコンセプトは、今日の世界のどの主要海軍よりも少ないコストで最先端の技術を実現し、少数の人員でこれを運営する方法を示すものだ」と述べている。

既に実用化されている技術もある。米海軍は艦船搭載型レーザーやレールガンの原型を試験しているほか、3Dプリンターは一般市民も手に入れることができる。

こうしたプロジェクトは、技術に強い民間人に対し、防衛産業を視野に入れてもらうよう促すことにもつながるだろう。英海軍でロボット工学を担当するスティーブ・プレスト中佐は声明で、「新しい最高の人材を海軍に引きつけ、こうした野心的なシステムの運営、維持、開発に携わってもらいたい」と述べた。

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