(CNN) ジョージア(グルジア)は、欧州の東端に位置し、北にカフカス山脈、西に黒海、南に乾燥した砂漠地帯がある。
ロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコの4カ国と国境を接するこの小国は「文化の交差点」であり、また壮大な風景の宝庫でもある。
以前は世界地図上でジョージアの位置を示せる人は少なかっただろうが、最近は欧州の人気の旅行先の1つになっている。
そこで今回は、今、ジョージアを訪れるべき理由を9つ紹介する。
1.トビリシ:文化のるつぼ
ジョージアの首都トビリシは、ムトゥクワリ川沿いに位置し、三方を山に囲まれている。考古学者らによると、現在トビリシのある場所には紀元前4000年に最初の居住者がいたことが確認されているという。
トビリシはシルクロード上に位置することから、多様な文化の中心地となった。それは今日、同市で見られる民族の多様性や、さまざまな要素を含む建築に反映されている。
アバノトゥバニの公衆浴場はペルシアの伝統に従い、地下から自然に湧き出た温泉のみを使用している。トビリシという名前は、同市で湧き出る温泉にちなみ、グルジア語で「温かい」という意味の「トビリ」から付けられた。
アバノトゥバニを離れ、旧市街に入ると古い教会、モスク、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)があり、さらにゾロアスター教の最北の教会跡もある。
2.ウシュグリ:欧州で最も標高の高い村
カフカス山脈の標高約2200メートルに位置する小村ウシュグリは、継続的に居住者のいる村としては、欧州で最も標高の高い村だ。ジョージアの最高峰シュハラ山のふもとにあるこの村は、中世に作られた防御塔がそれぞれの家とつながっていることで知られる。
アッシュガリは、北西部スヴァネティの奥深くに位置する。スヴァネティの中心都市メスティアではリゾート開発が進んでいるが、交通の便が悪いウシュグリは開発をまぬがれ、今も昔ながらの雰囲気が残っている。
ウシュグリと上スヴァネティ地方は、ユネスコの世界遺産に登録されている。
3.ワイン発祥の地
ワイン発祥の地として思い付くのはフランス、イタリア、ギリシャ、ペルシアあたりだろうが、実はジョージアも世界で最も古いワインの産地の1つだ。
2003年に考古学者らが、今から約8000年前の石器時代にこの地域に住む人々がワインを製造していた証拠を発見し、それ以来ワインはジョージア国民のシンボルとして重要な役割を果たしてきた。
ブドウの果汁を「クヴェヴリ」と呼ばれる土器の中で発酵させる古代から伝わる伝統的なワイン製造法は、ユネスコの無形文化遺産に登録されている。
ジョージア産のブドウは数百種にも及び、ジョージア産ワインは徐々に世界で認知され始めている。
4.神秘的な洞穴都市
ジョージアには欧州で最も風変りな洞穴都市の一部があり、それらだけでもジョージアを訪れる十分な理由になる。
最も古いのはウプリスツィヘにある月面の風景に似た古代洞穴住居跡だ。
他にもガレジャ山の岩をくりぬいて作られた巨大な修道院群ダヴィド・ガレジャや、かつて2000人の修道僧が住んでいたという壮大な洞窟住居群ヴァルジアなどがある。
5.スープラ(ジョージアの伝統的な宴会)
ある国を知る最も良い方法の1つは、その国の食べ物を食べることだ。実際、ジョージアの宴会「スープラ」を体験しなければ、ジョージアを体験したとは言えない。
「ハチャプリ」はジョージア風チーズパンで、ボートのような形をしたパンの中に、とろりと溶けた「スルグニ」チーズに卵黄とバターを混ぜた具がたっぷり入っている。
他にも、香辛料で味付けした肉を小麦粉の皮で包んだ「ヒンカリ」や、クルミのドレッシングをかけたサラダ、コリアンダーで香り付けした豆シチュー、肉の串焼き料理「シャシリク」などがある。
無論、これらのごちそうに加え、ジョージア産の絶品ワインがあれば言うことなしだ。
6.人里離れた山村
カフカス山脈内の人里離れたヘヴスレティとテュシェティには、キリスト教ではない古代からの伝統を守る人々が暮らす見事な中世村落が多数存在する。
またヘヴスレティにあるムツォの要塞跡やシャティリの旧村跡では、山々を背景とした印象的な風景が見られる。またチェチェンに非常に近いため、国境警備隊員らが行き来する様子も見える。
テュシェティには多くのコミュニティが集まっており、古い塔、教会、村、さらに見事な山の風景が見られる。また多くのハイキングコースがあり、地元の人々は客を手厚くもてなすことで知られる。
7.欧州で最も「超現実的な」博物館
ソビエト連邦の元最高指導者ヨシフ・スターリンの故郷ゴリに、スターリンにまつわる品々を展示したヨシフ・スターリン博物館がある。
スターリンは、数百万人を殺害した独裁者として知られるが、この博物館には「成功を収めた地元出身の少年」への誇りが感じられる。
館内にはスターリンの写真、像、デスマスク、スターリンの顔が描かれたカーペットやフレスコ画、スターリン専用の緑の客車などが展示され、さらにスターリンが幼少期を過ごした寝室が1つしかない実家も完全な状態で保存されている。
博物館には「歴史の歪曲」「ソビエトのプロパガンダ」などの批判が寄せられている。博物館のテーマをロシアの侵攻に変えようとするプランもあるが、今のところ、入り口脇の隠れた小部屋にしかそのコーナーはない。
自画自賛やプロパガンダの部分も含め、スターリンの真髄を見るには訪れる価値のある場所だ。
8.美しい古代教会
キリスト教の歴史が西暦324年から始まるジョージアには、さまざまな場所に見事な教会や大聖堂がある。
ユネスコの世界遺産にも登録されているムツヘタのスヴェティツホヴェリ大聖堂やクタイシのバグラティ大聖堂、またカズベギの丘の上にある教会など、ジョージアの教会はどれも絵になる教会ばかりだ。
9.人々とジョージア流のもてなし
ジョージア人は一見気難しそうな人もいるが、大半の人は親切で、旅行者を歓迎してくれる。客人に敬意を表し、多少無理をしてでも客を助けようとするのだ。
彼らの気前の良さ、もてなしの心は、多くの酒やごちそうという形で現れる。ちなみにジョージアの乾杯の掛け声は、「ガウマルジョス!」だ。