ワシントン(CNN) 米国主導の有志連合とロシアによる空爆が続くシリア情勢に関連し、米ロ両国がシリア上空での軍用機の安全飛行確保の手順についての了解覚書作成で最終合意に近づいていることが15日までにわかった。
米政府当局者がCNNに明らかにした。作成が完了する時期には触れなかったが、「間近」と述べた。別の政府当局者は、覚書では過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の空爆に加わる有志連合国の全ての航空機が対象になると語った。
覚書では技術的な問題では意見の一致を見たとし、残っている問題は最終文案の表現での最終的な詰めとも述べた。
両国の国防当局者は14日、3回目のビデオ電話会議を開き、シリアでの空軍機の安全飛行促進のための協議を行っていた。米国防総省のデービス報道官は文書声明で、この協議では進展があったと述べた。
シリア上空では数日前、米ロ両国の航空機が至近距離で遭遇する事態が発生。ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は14日の会見で、この接近は11日に起き、ロシア機が識別確認のため米国機に近づいたが威嚇はしていないと説明。両機間の距離は約3.2キロだったとも明かした。
一方、有志連合の報道担当者であるスティーブ・ウォーレン大佐は、両機は空中で相互の機体を視認出来るまでの距離にあったと指摘。その間隔は最大で約16~32キロとみられるとの初期情報も示していた。
ロシアはシリアでの空爆の狙いについて、ISISや他の過激派壊滅と主張。ただ、これまでの空爆はアサド政権打倒を目標とする米国支援の勢力を含む反体制派が主な標的になっているとされる。シリアはロシアにとって中東の重要な同盟国。
米国のカーター国防長官は14日、ワシントンでの米陸軍関連の会合で演説し、ロシアはシリアで根本的な戦略的な間違いを犯していると主張。ロシアが誤った戦略を求める限り、シリアで協力した行動は取らないともし、有志連合によるシリアやイラクでの空爆は続行するとも明言した。