ロシア、シリアに長距離ミサイル26発 反体制派を攻撃か

ロシアがシリアに向け、カスピ海上の艦艇からのミサイル攻撃を行った

2015.10.08 Thu posted at 10:28 JST

ワシントン(CNN) ロシアのショイグ国防相はプーチン大統領とのテレビ会談で、シリアの過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」を標的として7日にカスピ海から長距離ミサイル26発を発射し、約1500キロ離れた目標に11発が命中したと報告した。

ロシアはシリアのアサド政権との軍事協力も強化している。7日にはシリア西部のハマ、イドリブの両県でイスラム勢力に対する共同作戦を展開。反体制派によれば、シリアの砲撃と連携してロシアの空爆が行われたと見られる。

もしこの情報が正しければ、ロシアの真の狙いがISIS掃討よりもアサド政権の支援にあることを裏付ける根拠になる。

ロシアは依然として、シリア攻撃では米国と協力する用意があると述べている。一方、米国防総省のカーター長官は訪問先のローマでロシアのシリア空爆について「根本的な過ち」と非難、シリアでの作戦でロシアと連携するつもりはないと言明した。

米国防総省によると、シリア上空では米軍機がロシア機との安全な飛行距離を保つために進路の変更を余儀なくされる事態も発生。両国の間でシリア上空の飛行に関する相互安全対策について合意が成立するまで、ロシア機が20カイリ以内に接近した場合は進路を変更するよう米軍パイロットに指示を出したという。

約1500キロ離れた目標に11発が命中したという

反体制派のシリア人権監視団(本部・英国)によれば、7日のロシアによる空爆ではイスラム勢力が集中的に狙われた。同監視団の責任者は、標的となった地域にISISの拠点はないとしている。地上では、国際テロ組織アルカイダ系のヌスラ戦線を含むイスラム系の反体制派とシリア政府軍の間で激しい戦闘が行われていた。

ロシアは先に、ISISやヌスラ戦線など、国連安全保障理事会やロシアの法律でテロ組織とみなされた勢力を標的にすると述べていた。

ロシア国営のスプートニク通信によれば、シリアの駐ロシア大使は7日、ロシアの軍事作戦が始まって以来、ISISのインフラの約40%が破壊され、ISISはトルコとの国境方面へ後退していると語った。

これに対してトルコのダウトオール首相は同日、シリアでロシアがこれまでに行った空爆のうち、ISISが標的となったのはわずか3.5%に過ぎないとの見方を示した。ダウトオール首相はアナドル通信に対し、「これはISISに対する空爆ではない。ロシア空軍による57回の空爆のうち、55回は反体制派の穏健派が狙われた。ISISに対する空爆は2回のみだった」と話している。

在シリア米大使館も同日、記者団に対し「これまでのロシアの空爆では主に、ISISが存在する地域ではなく、穏健派のシリア反体制派が拠点を置く地域が狙われている」との見方を示した。

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