チベット仏教の未来「心配していない」 ダライ・ラマが言明

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が、CNNとのインタビューに応じた

2015.10.07 Wed posted at 19:42 JST

ロンドン(CNN) チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世はロンドンでCNNとのインタビューに応じ、生まれ変わりの信仰に基づいて指導者を継承するダライ・ラマの制度は自分で最後になるかもしれないとしたうえで「何も心配していない」と語った。

ダライ・ラマはインタビューで、中国政府は依然として自分を政治的指導者とみなしているが、実際には2011年以降、精神的指導者の役割だけを果たしてきたと強調。「私は政治的な場面から完全に退いた。私だけでなく、400年来の伝統を持つ制度自体もだ」と語った。

チベット仏教の歴史はダライ・ラマの制度よりはるかに長いと指摘し、「将来はダライ・ラマなしでチベット仏教が続いていく」との見方を示した。

そのうえで、ダライ・ラマ制度については自分よりも中国政府の方が気にかけているようだと指摘した。

ダライ・ラマは今月訪米を予定していたが、出発前に検査入院して中止を余儀なくされた。インタビューは入院直前のタイミングで行われた。本人は現在インドに戻っている。信者らに語ったところによれば、健康状態は「極めて良好」だという。

チベットが独立国家であることは歴史的事実だと語る

中国政府はダライ・ラマを「反中国の分離主義者」と呼んで敵視してきたが、本人はインタビューで「我々は独立を求めてはいない。歴史的にみて我々が独立国家であることは、全ての歴史学者が知っていること。ただし中国政府系の学者は例外だ。かれらはその事実を受け入れようとしない」と語った。

また、チベットにとって中国の一部であることは「物質的発展のために有益だ。独自の言語や豊かな宗教性が確保されるという条件付きでの話だが」との考えを示した。

一方で、仏教の伝統がチベットほど純粋に受け継がれている国はないと語り、その伝統を守ることは中国の仏教徒全体に大きな恩恵をもたらすと述べた。

イスラム教をはじめとする他宗教の信者らとの関係については、「かれらに違和感を抱いたら、仏教の開祖ブッダの顔を思い浮かべることだ。ブッダならその人々を守り、助けるに違いない。我々もブッダに従うべきだ。国益は二の次だ」と主張。「イスラム教の方が心に響くという人々もいる。ならばイスラム教に従えばいいし、我々はそれを受け入れなければならない」と語った。

ダライ・ラマ制度の今後にも言及

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