ロシア軍機、トルコ領空を侵犯 「ミス」と説明

ロシア機によるトルコ領空への侵犯が発生したという

2015.10.06 Tue posted at 17:54 JST

(CNN) トルコ外務省は5日、ロシア軍機が3日に同国領空を侵犯したため、ロシア大使を呼んで強く抗議したことを明らかにした。外務省は声明で「不測の事態となった場合、責任はロシアにある」と警告した。

ロシア軍機はトルコ南部ハタイ県のヤイラダギ上空に侵入した。近くをパトロールしていたトルコ空軍機2機が対応したところ、シリア側へ出ていったという。

ロシア国防省の報道官は報道陣の前で、悪意はなかったと主張。「気象条件が悪かったのが原因だ」と説明した。

トルコのアナトリア通信によると、同国のダウトオール首相は5日、国内テレビ局とのインタビューで、ロシアの領空侵犯は「ミス」だったようだと述べた。

首相によれば、トルコ外相がロシアのラブロフ外相に連絡し、再発を防止すべきだと申し入れた。ロシア側からは5日朝、ミスが招いた出来事であり、今後は繰り返さないとする連絡があったという。

ダウトオール首相は「領空侵犯したのがだれであろうと、友好的な姿勢で警告を発するという我が国の規定は明確だ。ロシアとの間で緊張が高まっているわけではない」と強調した。

だが北大西洋条約機構(NATO)は5日の声明で、ロシアが最近、シリア内外で「危険な軍事活動」を始めたとの懸念を表明。ロシア軍の戦闘機スホイ30と同24が3、4日の両日にわたり、トルコ領空を侵犯したと述べた。

米軍主導の有志連合もISISへの空爆を実施している=米空軍

NATOのストルテンベルグ事務総長は声明で、領空侵犯は「容認できない」と非難し、ロシアに対してNATOとの緊張を高める行為を避けるよう呼び掛けた。

一方ロシアの国営スプートニク通信は、領空侵犯という「偶然」の出来事をめぐって米国が「大騒ぎ」していると批判した。

トルコとロシアはシリア情勢への対応をめぐって対立している。トルコは米国などと同様、紛争を終わらせるにはシリアのアサド大統領が退陣する必要があるとの立場。一方でロシアはアサド政権を支援し、同政権が戦う過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に対して空爆を開始した。

ロシア国防省が5日に発表したところによると、ロシア軍機は同日までの24時間に、シリア各地でISISの指令本部、通信施設、訓練キャンプ、弾薬庫や大砲、車両など9カ所の標的を破壊した。

米軍主導の有志連合も、シリアとイラクでISISへの空爆作戦を展開してきた。ロシアの空爆に対しては、民間人やシリア反体制派が標的になっていると批判している。

ロシアのラブロフ外相が5日、モスクワでの記者会見で語ったところによると、米国とロシアは高官レベルの会合で、シリアで不測の事態が発生しないよう協力することで合意に達したという。

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