ミレニアル世代を引きつける職場は? 変化を模索する企業

ミレニアル世代をひきつける職場とは?

2015.10.03 Sat posted at 09:30 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 1980~90年代生まれの「ミレニアル世代」が労働人口で増えるなか、企業は従来の育成戦略の見直しを迫られている。米ゼネラル・エレクトニック(GE)のような伝統的な大企業も例外ではない。若い世代の社員を引きつける上で鍵となるのは、頻繁な昇給・昇進、周囲の支援や透明性の確保のほか、柔軟なスケジュールのようだ。

ミレニアル世代は2020年以降、労働者の過半数を占めるようになると推定されている。企業によってはさらに劇的な変化を見せ、英コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は来年までに同社社員の80%がミレニアル世代となる見込みだ。

各種調査から、こういった若者は親世代のような出世の仕方や過酷なスケジュールを敬遠していることが示唆されている。ミレニアル世代を引きつけるため、企業側では従来の育成方針の見直しに着手している。

生活を中心に仕事を回す

コンサルタントは従来、顧客のために全てを犠牲にしなければならなかった。だが最近では、社員を酷使するよりも「大事にする」風潮が経営者の間で広がっているようだ。

PwCでは、毎週ヨガに通うなどといった社員の個人的なニーズにチームが合わせる文化を浸透させようとしている。

出張については、チーム全員が毎週のように客先に行く必要があるのかを見極め、メンバーを交代で派遣することでも対応可能か検討。また出張先に到着するのが月曜の朝でなく午後でも構わないようであれば、社員は日曜夜、自宅で寝ることができる。社員が罪悪感を感じずに働ける仕組みを模索しているという。

勤務評定「3」はもういらない?

米コンサルティング大手のマッキンゼーでは、プロジェクトの合間の5~10週間にわたり、個人としての興味を追求することを社員に許可している。これは通常の有給休暇とは異なるもので、この間給料は払われないが、福利厚生は受けられる。同社ではまた、「ペースプログラム」を導入。コンサルタントがキャリアを自分で調整できる余地を増やすための制度で、定期的に昇進できなければ退社するしかないという従来のモデルに取って変わるものだ。

昇給・昇進をより頻繁に

ミレニアル世代が求めているのは、早期かつ小まめな昇格だ。米コンサルティング大手マーサーの顧客の中には、昇給・昇進の頻度を増やすことで対応している企業もある。従来は仕事AからBに一気に昇格していたところを、仕事AからA1、A2を経てBに移るように細分化して、より小まめな昇格ができるようにした。これに伴い昇給の回数も増えた。

管理面では多少煩雑になったが、会社側は好成績を認めることができる一方、社員も自分の進歩を実感でき、双方に良い効果があるという。

勤務評定「3」はもうたくさん

ミレニアル世代は特に、勤務評定で「3」をもらうことを嫌う。通常は「期待に応えた」という意味で良い評価なのだが、ミレニアル世代にとって「3」は「平凡」を意味するようだ。このため、多くの会社が数字ではなく質で勤務評定を下すようになっている。

また頻繁にフィードバックを受けたいというミレニアル世代の要望に応えるため、年次評価に加えて四半期ごとや月次の評価を採用する企業が増加。その場でフィードバックを与えることもある。

勤務評定の下位10%を解雇する「ランク・アンド・ヤンク」規則で有名だったGEも、数字で評価する従来の方針を変更。「パフォーマンス開発」という育成戦略の一環として、質的なフィードバックを頻繁に与える評価体系を試験的に取り入れている。

職場の自由が求められる時代に

もっと自由を

企業文化に関するミレニアル世代の要望を調査した結果、GEは従来の「命令・管理モデル」から、より機動的でシンプルな企業文化に移行。実験的な試みや意思決定を行う上で、個々のチームがより大きな裁量を持てるようにした。

流動性の高い社内起業的な仕事への取り組み方を推奨し、ミレニアル世代を自然と引きつけている企業もある。米ミネアポリス州のバーエンジニアリング社は「自由市場的な構造」を持っているという。

社員には上司がおらず、取り組みたいプロジェクトを自ら選択。あるプロジェクトに貢献者の立場で加わる場合は、同プロジェクトの統括者に報告しながら仕事を進める。一方、別のプロジェクトでは自分が統括者となって動く可能性もある。長時間労働になる場合、残業代と代休のどちらをもらうか選択することも可能だ。

米ノースダコタ州ファーゴの市場調査会社サンドッグ・インタラクティブでは、社員90人(うち半数がミレニアル世代)に自分の好きなことをやるよう促している。社員の適性を最も生かせる役職に就かせ、仕事に意味を見出せるようにするのが狙いだという。「肩書きよりも適性」が合言葉だ。

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