(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の研究チームは28日、火星の表面に塩水が流れていることが、探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」の観測で確認されたと発表した。専門家らは、火星に微生物などの生命体が存在する可能性が高まったと指摘している。
火星の表面には季節によって黒っぽい筋が現れることが知られてきた。MROに搭載したカメラによる観測で、この筋が特定の塩類の存在を示す波長の光を吸収することが新たに分かった。塩類は大気中の水分を引き付け、水が低温で凍結してしまったり、火星のような大気圧の低い状態で蒸発してしまったりするのを防ぐ働きがあるという。つまり、筋はその塩類を含んだ水の流れを示すとみられる。
水がどこから来ているのかは明らかでない。大気中から吸収された可能性に加えて、表面下の氷が解けたという説、地下水を含んだ地層があるという説も考えられ、今後の研究課題と位置付けられている。
チームの成果は今週、フランスで開催される欧州惑星科学学会で発表される。
水は生命体の存在に不可欠とされる。NASAの惑星科学部門を率いるジム・グリーン氏はこの日の発表について、「地球外に生命が存在するかどうかという疑問には答えが出ていない。しかし水に注目することが重要な鍵だ。我々は火星上で、この疑問を探究するのに絶好の場所へたどり着いたようだ」と述べた。
これまでの観測でも火星の極地に氷が存在すること、大気中に水蒸気が含まれること、夜間に小さな水たまりが出現するとみられることなどが報告されていた。
また火星表面でNASAの探査車「キュリオシティ」がメタンや有機物を検出したことを機に、生命体が過去に存在した、あるいは現在も存在するとの期待が改めて高まっている。
火星に「流れる水」