ワシントン(CNNMoney) 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は17日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、利上げを見送ることを決めた。
米国ではほぼ10年にわたり利上げが行われていない。金融危機のさなかの2008年12月以来、実質的なゼロ金利政策が続いている。
利上げを見送った背景には、世界的な景気減速や米国の物価上昇率の低さ、不安定な株式市場への懸念がある。
FRBのイエレン議長は記者会見で「海外の情勢は警戒を要する。金融市場の乱高下を招いたのは、中国など新興市場の経済成長に対する懸念の高まりだ」との認識を示した。
利上げの見送りを受けて、ニューヨーク株式市場のダウ工業株平均は一時、150ドル値上がり。だがその後、近い将来に利上げは実施されるとの認識が投資家に広がったことで値下がりした。
FRBの経済見通しを見る限り、FOMCメンバーの多くは年内に利上げがあると考えている。年内のFOMC開催は10月と12月だ。
「(10月利上げの)可能性は残っている」とイエレン議長は述べた。
FRBは米景気の先行きについて、楽観的な見方をやや強めているようだ。最新の経済見通しでは今年の経済成長率の予測を1.9%から2.1%に引き上げたほか、現在5.1%の失業率は今年末には5%にまで下がるとしている。
現時点での利上げに対しては、国際通貨基金(IMF)や世界銀行のトップ、著名な経済学者などから反対の声が上がっていた。