食肉の抗生剤使用、飲食大手が軒並み「不合格」 米調査

食肉への抗生剤使用について、米ファストフード大手を対象とした調査が行われた

2015.09.16 Wed posted at 13:23 JST

(CNN) 米ファストフードチェーン店などのメニューに使われている食肉の抗生剤使用状況について、大手25社を対象に実施した調査で、大多数が「不合格」と評価された。「フレンズ・オブ・ジ・アース」をはじめとする6つの消費者団体、環境団体が15日に発表した。

これらの組織は、各ファストフード店や飲食チェーン店の抗生剤使用状況や使用ポリシーについて、ウェブサイトに掲載された情報やメニューをチェックしたほか、電子メールや郵便で問い合わせるなどの方法で調査した。

その結果、抗生剤を定期的に使うことなく育った家畜の肉を主に使用していると報告して「A」評価を獲得したのは、飲食チェーンを展開するチポトレとパネラブレッドの2社のみだった。

チキンサンドイッチチェーンのチックフィレイは、2014年に鶏肉から抗生剤を排除すると表明しており「B」評価を獲得。ダンキンドーナツとマクドナルドは「C」評価だった。

マクドナルドは鶏肉の抗生剤使用制限を打ち出して期限も明示している。一方、ダンキンドーナツは全食肉を網羅する方針を打ち出したものの、期限は明示していない。

残るサブウェイ、ウェンディーズ、バーガーキング、デニーズ、ドミノ、スターバックス、ピザハット、KFC、デイリークイーンなどは、いずれも不合格の「F」評価だった。

マクドナルドは鶏肉への抗生剤使用を制限する方針を打ち出している

フレンズ・オブ・ジ・アースなどの報告書では「家畜生産者が定期的に家畜に抗生剤を投与すると、耐性を持つようになった細菌が繁殖して我々の社会にまで拡散し、さらに大きな耐性菌の問題を引き起こす」と指摘。今回の調査結果について、「米国の大手飲食チェーンのほとんどは、食肉への抗生剤使用に対する不安の高まりに実質的に対応できていない」と批判した。

耐性菌の危険性については米疾病対策センター(CDC)や世界保健機関(WHO)が何度も警鐘を鳴らしてきた。CDCによれば、米国では年間少なくとも200万人が耐性菌に感染し、2万3000人が死亡している。

これに対して全米レストラン協会などが加盟する食品業界団体の代表は、抗生剤は責任を持って使用すれば食品の安全性を高め、価格を抑えることができると強調。「生産者が獣医師と連携して責任ある抗生剤の投与を行えば、食品の安全性が高まり、価格も抑えられるという点でメリットがある」と話している。

今回の調査では、抗生剤を段階的に減らす代わりに成長促進ホルモン剤の使用が増える可能性もあるとの懸念から、そうしたホルモン剤の使用についても各社に尋ねた。評価には反映されていないものの、ホルモン剤の使用は動物保護上の懸念や、人間の健康リスクへの懸念を生じさせる恐れもあると指摘している。

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