紙を折るだけで顕微鏡に、専門家も太鼓判

紙を折って作る顕微鏡は持ち運びも簡単=FOLDSCOPE TEAM

2015.09.10 Thu posted at 15:59 JST

(CNN) 米スタンフォード大学の研究者が開発した「フォールドスコープ」は、紙を折るだけで作れる手製の顕微鏡だ。子どもでも簡単に作れる上、専門家もその出来栄えに太鼓判を押し、将来は医療用途での利用も期待されている。

この顕微鏡を開発した同大のマヌ・プラカシュ助教によれば、材料費は1ドルにも満たないのに丈夫で驚くほど実用性も高いという。

実際に使ってみた研究者も同意見だ。昆虫学者で科学記者のアーロン・ポメランツ氏は、フォールドスコープをペルーのアマゾン川流域の熱帯雨林で使用した。「一言で言えば、すばらしい道具だ」とポメランツ氏。「小さい昆虫やダニや菌類や植物の細胞を、140~480倍で観察できた」

フォールドスコープは厚い紙に印刷されており、ポケットに入れてどこにでも持ち運べ、折り紙のようにほんの数分で組み立てられる。紙やレンズなどの材料費は50セント(約60円)程度だという。

ブラカシュ氏は米アトランティック誌に、扱いは簡単で子供でも組み立てられると語り、「人々に好奇心を持たせることこそ私たちの最大の目標だ」と述べた。

フォールドスコープを1万人に配布し観察結果を募った=FOLDSCOPE TEAM

昨年、ブラカシュ氏の研究チームは1万個のフォールドスコープを希望者に配布し、観察した結果を専用サイトに投稿させた。すると小学1年生によるバナナの種の観察から、便に潜む寄生虫の検知まで、さまざまな研究が寄せられた。

医療分野への応用も期待されている。血液由来の病気を迅速、安全に診断する安価なツールとして活用することがプラカシュ氏の夢だ。「ほぼ無料で配布できる病気の検知器具を作りたいと思っていた。このプロジェクトから生まれたのは、いわば使い捨ての顕微鏡検査だ」と同氏は語る。

残念ながら、現時点ではこの顕微鏡は配布されていない。研究チームは時期は未定としながらも、「ベンチャーを通して販売できるように努力している」という。

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