ドイツ、難民80万人受け入れへ 負担の分かち合いも求める

ウィーンに到着した難民。大部分が、さらにドイツなどへ向かうという

2015.09.07 Mon posted at 12:42 JST

オーストリア・ウィーン(CNN) 大量の移民や難民が欧州に押し寄せている問題で、ドイツ政府は7日までに、80万人の難民を受け入れる意向を表明した。オーストリア内務省によると、同国には6日、1万2000人を超す難民が到着。列車の駅で市民らが拍手や歓声で出迎えた。また、ドイツのザールフェルトでもホームに大勢の市民らが集まり、英語で「難民を歓迎します」と声をかけていた。

難民がドイツを目指すのは、同国の経済が安定していて民主主義が根付き、歴史的に難民受け入れに積極的だったことによる。第2次世界大戦や冷戦を経て、ドイツは政治亡命に対してリベラルな政策を確立、戦争や政治的迫害を逃れた難民や亡命者を受け入れてきた。

独公共放送ARDが3日に発表した世論調査では、ドイツ国民の88%が難民のための衣類の提供や募金に協力すると答え、ボランティアに協力するという回答も67%に上った。

警察によると、ミュンヘンの駅には6日、約5000人が到着。内務省によれば、前日の5日には7000人以上が到着していた。到着した人たちは指紋などの登録を済ませると、学生寮や輸送用コンテナなどに設けられた仮設避難所に向かった。

アフガニスタンやシリアなどから多くの難民が欧州へ向かっている

ただ、ドイツ内務省は6日の声明で、このままのペースで難民を受け入れ続けることは不可能だと指摘。欧州のすべての国が結束して負担を分かち合うよう求め、「それが保証される場合のみ、ドイツは大量の難民支援への役割を果たし続けることができる」と強調した。

ドイツのシュタインマイヤー外相も5日の時点で、受け入れはあくまで例外的な措置だと強調していた。

ハンガリーとドイツの中間に位置するオーストリアのファイマン首相は6日、流入する難民の数を徐々に減らしたい意向を示し、「我々は窮状に置かれた1万2000人あまりを助けてきた。今度は段階的に、緊急対応から人道的かつ法にのっとった平時の対応に切り替えなければならない」と訴えた。

同国内務省によると、ハンガリーとの国境は6日も解放しており、満員のバスや列車の到着が続いているという。ただ、オーストリアでの難民認定申請者は数十人にとどまり、大半はドイツへの入国を希望している。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)広報もオーストリアの首都ウィーンの駅でCNNの取材に対し、このままではオーストリアが持ちこたえられなくなると指摘。他国も負担を分かち合う必要があるとして、「これをドイツの問題にしてはならない。これは欧州の問題であり、すべての国が結束して解決に当たる必要がある」と訴えた。

ルクセンブルクで開かれたEU閣僚会合でも、まだ具体的な政策についての合意には至っていない。

ただ、一般的な原則として、難民認定希望者の保護と基本的人権に基づく処遇、人身売買や密航業者の摘発、難民の出身国との関係強化、大量の難民を発生させる原因となっているシリアやリビアの紛争解決に取り組むことで一致した。

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