ハンガリー通過の難民、5500人がオーストリア入り

少なくとも5500人の難民がハンガリーの国境を越えたという

2015.09.06 Sun posted at 15:03 JST

オーストリア東部ニッケルスドルフ(CNN) 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ハンガリー政府が用意したバスに乗ったシリア難民ら少なくとも5500人が4日夜から5日にかけ、国境を越えてオーストリアに入った。

バスから降りた難民らが徒歩で国境を越えると、オーストラリア側で待ち受けたグループが拍手で出迎え、食料や水を渡した。オーストリア赤十字も医薬品や毛布を提供した。

UNHCRによると、難民らの一部は首都ウィーンへ向かったが、約2500人は依然として国境の町、ニッケルスドルフで待機している。

地元警察幹部の話によれば、同町には合計約1万人の難民が押し寄せる見通し。しかし町周辺の宿泊施設には数百人しか収容できないため、大半の難民は列車やバスでウィーンへ送られる。

同幹部は「ウィーンへ行けば食料や飲み物が提供され、必要なら医療も受けられる。さらにドイツへ向かいたい場合はその希望も認められる」と述べた。ドイツのほかにイタリア、スウェーデンを最終目的地とする難民もいる。

難民らはハンガリーの駅で一時足止めされた

UNHCRは、オーストリアとドイツが越境難民の受け入れを決めたことを歓迎し、「人道上の価値観に基づく政治的指導力だ」と評価した。

ウィーンをはじめとする各地の一般市民からも、ドイツなどへ向かう列車のチケットや食料、日用品の寄付が寄せられているという。UNHCRの報道官は、「ウィーンで会った難民たちは支援に大変感謝していた」と述べた。

難民らは3日、満員列車でハンガリーを通過中に首都ブダペスト近郊のビチケ駅で足止めされた。ハンガリー当局は登録手続きのため、一行をいったん近くの収容施設に保護しようとしたが、本人たちはこれに抵抗。数百人が徒歩でオーストリアへ向かい始めたため、同局当局がバスを手配して国境まで送り届けることになった。UNHCRによると、同駅での混乱で50歳の男性1人が死亡した。

アフガニスタンやシリアなどから多くの難民が欧州へ向かっている

当局は市内のブダペスト東駅で待機していたり、幹線道路沿いに歩き始めたりしていた難民らにもバスを提供した。

ハンガリーの右派政権は不法入国を防ぐため、セルビア国境に鉄条網の設置を進めている。4日には国境警備を強化する法案も議会を通過した。オルバン首相は5日、「我々が入国者をすべて認めれば欧州を崩壊させることになる」と語り、国境管理の必要性を強調した。

首相はまた、ハンガリーが欧州連合(EU)への難民流入の最前線に立つ国として、登録手続きを義務付けるEUの規定を施行しようとしただけだと主張。同国を責めるのは筋違いだと訴えている。

一方、EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は5日、ルクセンブルクで開かれた外相会合に続く記者会見で「互いを責め合うのはもうやめよう」と強調。EU諸国が負担を分かち合うために、共通の体制を考える必要があると呼び掛けた。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。