エジプト、アルジャジーラ記者3人に禁錮刑 国際社会が非難

アルジャジーラの記者3人に禁錮刑の判決が言い渡された

2015.08.30 Sun posted at 13:28 JST

カイロ(CNN) エジプトの裁判所は29日、同国で2013年末に拘束され、虚偽報道などの罪に問われていた中東の衛星テレビ局アルジャジーラのジャーナリスト3人に対し、禁錮3年の有罪判決を言い渡した。

有罪となったのはカナダ国籍を持つアデル・ファハミ氏、エジプト人のバヘル・ムハンマド氏と、オーストラリア人のピーター・グレスト氏。グレスト氏は今年2月にオーストラリアへ送還されているため、被告不在のまま判決が言い渡された。ムハンマド氏にはさらに6カ月の刑期と約8万円の罰金が科された。

3人は13年7月の軍事クーデター後に非合法化されたイスラム組織、ムスリム同胞団を支援したとして罪に問われた。昨年6月、ムスリム同胞団との共謀や虚偽報道、国家を危険にさらした罪で有罪判決を受けたが上訴。今年1月に裁判のやり直しが認められ、保釈されていた。

3人は裁判を通し、ジャーナリストとしての職務を果たしただけだと主張してきた。

しかし判事は、3人がジャーナリストではなかったと断定。当局の許可を得ないまま、エジプト政権に悪影響を及ぼす目的で虚偽の情報を含んだ映像を流したとの判断を下した。

アルジャジーラ側は判決を「非合理で非常識」と非難している。

判決を受けてファハミ、ムハンマド両氏は再び拘束されるが、さらに上訴することは可能とされる。

オーストラリアにいるグレスト氏はエジプトに国際手配された場合、同国との間で犯罪者の引き渡し条約を結ぶ国へ渡航できなくなり、国際ジャーナリストの職務を続けることが難しくなる。

グレスト氏は29日、ツイッターやCNNとのインタビューを通して「法廷ではなんの証拠も提示されなかった」「政治的動機による判決だ」と怒りをあらわにし、あらゆる手段を駆使して汚名を晴らすと表明した。オーストラリアのビショップ外相も、外交ルートからエジプト当局に働きかけていく意向を示した。

米国務省のカービー報道官は判決に「深い失望」を示し、「報道の自由は自由社会の基本であり、民主主義の発展に不可欠だ」と強調した。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも、3人の罪状には根拠がなく、裏に政治的意図が働いているとして判決を非難した。

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