次の旅行先はイラン? ピンク色のモスクや城塞も

シーラーズのナシル・アル・モルク・モスク

2015.08.29 Sat posted at 09:00 JST

テヘラン(CNN) イラン行きの航空機で最近、乗客が増えてきた。対イラン経済制裁が解除されるとの期待感から、ビジネス関係者がテヘランに向かっている。フランクフルト、ローマ、イスタンブールなどで運航されているイラン直行便でも、観光客が増加しているようだ。

イラン政府は、2015年、観光客が6.6%増加すると見込んでいる。ロハニ大統領は、制裁で疲弊した経済を立て直すため、観光開発を政策目標の目玉の一つに掲げた。

観光事業や文化遺産を統括するイランのマスード・ソルタニファー副大統領によると、同国を訪れる観光客は4つのグループに分かれる。神殿などを訪れる宗教的な観光客のほか、医療観光が目的で訪れる人々が多い。だが、イランの文化や自然を目当てにやって来る観光客も多数いるという。

同副大統領は、イランの観光セクターがまだ発展途上だと認める。経済制裁にも原因はあるとしながらも、批判は控えめだ。「10年間のうちに2千万人の観光客をイランに誘致したい。300億ドル(約3兆6000億円)の歳入を見込んでいる」「これが我々の目標で、目標達成のためのプログラムも用意している。もちろん、経済制裁が解除されれば本当に助かるだろう」と述べる。

バキル・モスク。ザンド朝時代、1751~73年の間に建立された

課題はインフラ投資。増大する観光客を収容するため、4つ星や5つ星のホテルの建設など、今後数年で多額の投資が必要になってくるという。

取材班はテヘランを離れ、イラン第2の都市シーラーズに向かった。シーラーズはイランの豊富な観光資源を体現。バキル・モスクやナシル・アル・モルク・モスクなど、独自の魅力を持つ宗教施設が複数ある。

「ピンク・モスク」として知られるナシル・アル・モルクは、19世紀に建立された。ピンクと赤色のタイルに加え、色鮮やかなステンドグラスが使われているのが特徴で、夜明けの時間帯、礼拝室の壁面や床が間接照明に包まれたような状態になる。

シーラーズでは歴史的な建造物にも注目だ。18世紀にこの地域を統治したカリム・ハーンの城のほか、緻密に造園されたエラム庭園もある。エラム庭園は現在、シーラーズ大学が植物園として管理している。

ペルシャ史上おそらく最も影響力があった詩人、ハーフェズの墓も観光客に人気のスポット。墓を囲む庭園内には、ハーフェズの詩の解釈を学ぶ文化センターもある。

シーラーズにあるカリム・ハーンの城

墓地では、取材中ほとんど見かけなかった欧米人観光客に遭遇した。数週間にわたり国内を旅行して回っており、イランを満喫しているという。イランの人々は暖かく歓迎してくれ、インフラも整った環境でバス旅も容易とのことだ。

ただ、欧米人の多くは依然、イランの治安や政治情勢などについて、懸念をぬぐえない状況だ。経済制裁により国際送金網から遮断されているため、イランでは欧米のクレジットカードが使えないという問題もある。イラン政府が制裁の早期解除を求めているゆえんの一つだ。

シーラーズを離れた取材班は、イランの中でも最も有名な場所の一つ、ペルセポリスを目指した。ペルシャ帝国の儀式上の首都であった古代都市だ。

ここでも多くの観光客を見かけたが、大半はイラン人だった。ペルセポリスの遺跡は素晴らしい。紀元前330年ごろにアレクサンダー大王の軍勢によって破壊され、今は廃虚となった多くの神殿跡や宮殿跡が残されている。円柱やフレスコ画の大半は、近隣の採石場で採掘された黒や灰色の大理石で作られている。

イランは、自然、文化、宗教、いずれの点でも観光客にとって見応えのある国だ。世界中から一段と多くの観光客がイランを体験しに来られるかどうかは、核開発をめぐる各国の動向に大きく左右されそうだ。

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