(CNN) 米バージニア州で26日、地元テレビ局の記者とカメラマンが生中継中に銃撃されて死亡した。容疑者は同局の元記者で、現場の映像などをソーシャルメディアに投稿していたが、警察に追い詰められ、自分を銃で撃って自殺した。
殺害されたのはWDBJテレビの女性記者アリソン・パーカーさん(24)と、カメラマンのアダム・ワードさん(27)。同日午前6時45分ごろ、同州オバートンで地元商工会議所会頭の女性にインタビューしている最中だった。
生中継のインタビューを放映していたテレビ画面には銃撃の現場が映し出された。ワードさんは、自分を撃った男がカメラに銃口を向ける姿をとらえていた。
インタビューを受けていた女性も背中に銃弾を浴びて負傷した。病院で緊急手術を受け、容体は安定しているという。
WDBJは現場からの中継を中断してスタジオの映像に切り替えたが、キャスターも衝撃を隠し切れない様子だった。同局はその後、パーカーさんとワードさんが殺害されたと伝えた。
バージニア州警察は同日午前11時半ごろ、ベスター・フラナガン容疑者の車が州間高速道路を東へ向かっているのを発見。停車を命じたが車はそのまま速度を上げ、道路からはみ出して衝突した。運転していた男は自分を銃で撃って負傷しており、搬送先の病院で死亡した。
銃撃事件に関連して、ABCテレビには事件発生の約2時間後、「ブライス・ウィリアムズ」を名乗る人物から23ページ分のファクスが届いた。ウィリアムズは、フラナガン容疑者がWDBJに勤務していた当時使っていた名前だった。
ファクスの中で同容疑者は、サウスカロライナ州チャールストンの教会で6月に起きた銃乱射事件に触れ、人種差別やセクシュアルハラスメントに遭って怒りが募ったと主張。教会銃撃事件の容疑者の名を挙げて、「人種戦争が希望か? やってみろよ、白人ども」とあおっていた。
ブライス・ウィリアムズの名で登録されたツイッターやフェイスブックのページには、銃撃現場を撮影した2本の映像が投稿されていた。
映像では、インタビュー中のパーカー記者とウォードさんに銃を持った男が接近。ウォードさんは男に背を向け、パーカー記者は横顔、インタビューを受けていた女性は男の方を向いていた。
男に銃撃されたパーカー記者と女性が悲鳴を上げる様子も映っていた。2人がこの場所で取材していることを男がどうやって知ったのかは分かっていない。
ツイッターには「銃撃を撮影した」などの書き込みもあった。ツイッターとフェイスブックのこのアカウントは間もなく停止された。
WDBJの元従業員など関係者によれば、フラナガン容疑者はウィリアムズの名で2012年にWDBJの記者として採用され、約1年後に解雇された。
同容疑者は黒人で、採用された当初から人種差別に遭ったなどとして何度も苦情を訴え、殺害されたパーカー記者についても、人種差別的なコメントをしたとして非難していた。解雇された日は警察が呼ばれ、同局から連行されていたという。