南アの義足ランナー、週内にも仮釈放 今後の見通しは

オスカー・ピストリウス受刑者が週内にも仮釈放となる

2015.08.18 Tue posted at 19:23 JST

(CNN) 恋人の女性を射殺した罪に問われ、過失致死罪で収監されている南アフリカの義足ランナー、オスカー・ピストリウス受刑者が週内にも仮釈放となることが18日までに分かった。

ピストリウス受刑者は2013年2月、プレトリア市内の自宅で、浴室内のトイレにいた恋人のリーバ・スティーンカンプさんを銃で撃って殺害したとして起訴された。裁判では、浴室からの物音を聞いて何者かが侵入したと思い込み、スティーンカンプさんとは知らずに発砲したと主張。昨年10月に過失致死罪で禁錮5年の刑を言い渡されていた。

同受刑者をめぐるいくつかの疑問に、CNNが答えた。

――ピストリウス受刑者はいつ出所するのか

刑期の6分の1に当たる10カ月の収監を経て、21日に仮釈放される。今後は「強制監視」という措置が適用される。仮釈放委員会が同受刑者の早期出所を勧告したことに対しては、社会から批判が集中した。しかし専門家らによれば、仮釈放は事実上、量刑を言い渡された時点から決まっていたという。

――なぜこんなに早く出所するのか

南アフリカ大学の専門家によると、同国の刑務所が定員オーバーと資金不足となっているため、仮釈放委員会が強制監視措置を検討するケースは多い。ピストリウス受刑者が裁かれた刑事訴訟法には、刑期の6分の1に達したところで強制監視に切り替えることができると明記されていた。

競技復帰の可能性は低いとみられる

――仮釈放の条件は何か

刑務当局者がCNNに語ったところによると、条件が開示される予定はない。しかし一般的には自宅軟禁下で電子装置による監視を受け、社会奉仕活動や労働を義務付けられる。アルコールや薬物、銃器は全て禁止される。同受刑者は、プレトリア郊外の豊かな街にあるおじの家で残りの刑期を過ごすとみられる。

――再び競技に出場することがあるだろうか

その可能性は非常に低い。国際パラリンピック委員会は、仮釈放の条件がどうであれ、5年の刑期が終わらなければ出場は不可能との見解を示している。次に出場のチャンスがあるのは20年の東京だが、そのころにはピストリウス受刑者も33歳。復帰はかなり難しいとみられる。

――スティーンカンプさんの遺族の反応は

両親は仮釈放委員会に対し、ピストリウス受刑者の早期出所を認めるべきではないと呼び掛けていた。書簡の中で「10カ月の収監では、ひとつの命を奪った罰として不十分だ」と強調した。

再び法廷闘争となる可能性も

――これで全てが終わったのか

終わったとはとても言えない。検察当局は17日、最終審裁判所に上訴状を提出した。検察側は一貫して殺人罪の適用を求めている。審理は今年11月に開かれる予定だ。

――上訴の内容は

検察側は、判事が南ア法で定められた「未必の故意」を正しく解釈していたかどうかに疑問を投げ掛けている。文書や裁判記録に基づく審理となるため、新たな証言や証拠提出は予定されていない。

――検察側が勝った場合はどうなるのか

改めて量刑が言い渡される可能性も出てくる。いずれにしても、裁判の長期化によってピストリウス受刑者の経済的負担がさらに増大することは確かだ。同受刑者の弁護士は南アで最も有名で、費用も高い。スポンサーを失い、すでに車や土地も手放した同受刑者にとって、これは法廷での闘いであると同時に、経済的な闘いともいえる。

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